ほら、見てよ。
俺の空は今日も明日もずっと、青いんだ。























































































僕の頭上の空を君に



















































































雨の中。
買ったばかりのお気に入りの傘をくるんくるん回して道を歩いていた。
雨男なんて言われちゃってる位だから、傘は必須アイテムで。
差す機会が多いのなら少し奮発して高いものをね、なんて。
ビニール傘じゃすぐ破れちゃうし。
安いものには模様がついてるの、少ないから。
今日のいのっち傘は、水色に白の雲のような模様。
それが、周りの風景に映えて綺麗に見える。
俺の上だけ晴れてるみたいに見えて思わず買っちゃったんだけどね。
これを長野くんに自慢してみせたら、よっちゃんはずっと子どもみたいだね、と笑われた。
だってほら、晴れてるじゃん俺の上。
ちょっと、優越感。
端っこにてるてる坊主なんてつけたら空は晴れるかな、なんて。
思っていた俺の視線の先に、見慣れた人と、犬。
ハンチングを目深に被った彼は、軒下で空を見上げ、困ったように首を傾げる。







あら。










「岡田じゃん」
「いのっちじゃん」
「・・・感動が無いね」
「あった方がよかったの?」
「いや別に。何してんのお前」
「雨宿り」
「や、違くて。何して遊んでんの?」
「だから、雨宿りだって」














・・・言いたいことが全然伝わってない。
ま、いつものことだけど。
傍から見れば雨宿りをしていることなんて分かるから。
そうじゃなくて。
お前はどうして外に出てるのかって、いう。
・・・この聞き方でも俺の望む答えは返ってこないんだろうな。
絶対「外に出たかったから」とか言っちゃうんだ。
この不思議っ子と言葉を交わすにはたくさん頭を捻らなければならない。
うーん。











「さつまと散歩?」
「うん」
「その途中に雨に降られた?」
「よく、分かるね」
「それ以外に想像がつかねぇよ俺には」
「別に想像しなくていいよ」
「まぁね〜。あ、入ってく?いのっち傘」









俺の提案に思いっきり嫌そうに眉を顰める岡田。
何その顔。
せっかくの先輩のご好意を。
ってか俺、そういえば先輩なんだよコイツの。
すっかり忘れ去ってたけどさぁ。










「・・・男二人傘に入って歩くの?」
「馬鹿。あそこのコンビニまでだっつの。そこでビニール傘を買いたまえ岡田くんいのっち先輩はあんまり甘くないぞ」
「何それ。えー・・・ならええわ、止むまで待つ」
「それじゃあ俺が帰れないだろ」
「そこで何でいのっち?」
「困ってるメンバーを置いては帰れませんだって愛してるからv」








一世一代の告白だって言うのに。
岡田の返事はふぅん、とさして興味無さそうだった。
や、あっても困るけど。
実はいのっちのこと好きだったとか真顔で言われたら丁重にお断りするけど。
あは。









「・・・その傘、買ったの?」
「そ!いいだろーちょっと高かったんだぞー!」
「傘に金かけるその精神が分からん」
「こうやって差すとさ、上だけ晴れてるって気持ちにならねぇ?」











くるりんと回してみせれば。
岡田はひょい、と傘の中を覗いて、笑う。












「・・・いのっちらしいなぁ」
「そうよ!俺は雨の日だって落ち込んだりしないのだ!」
「降らせてる本人が落ち込んでたら馬鹿みたいやん」
「・・・准ちゃん、最近長野くんみたいになってきたよね」
「そう?」
「そう!絶対そう!!」










憤慨しながら傘をくるくる回せば。
飛沫が飛んでくるから止めなさいと言われて、大人しく止めた。
ぷるぷるとさつまが自分の身を震わせて、飛沫を飛ばす。
ねぇこれはいいの、と聞けば、これはいいの可愛いから、と返ってくる返事。









































ウチの末っ子は一緒に傘に入る気は無いらしい。
コンビニで傘を買う気も無いらしい。










雨は、さっきよりも小降りになってきた。











ふむ。


































































「岡田」
「なに?」
「一つ提案。ウチ来ねぇ?」
「ええけど・・・相合傘は、ちょっと」
「うん。だから俺の傘は岡田にやるよ」
「え」
「その代わり携帯よろしく濡れるから」
「ちょ、いのっち」










手に持っていた俺の傘と、ポケットの中の携帯を岡田に手渡し。
制止する言葉を振り切るようにして、雨の中へ。
ゆったりと俺を濡らしていく雨粒。
まるで子どもの頃に戻った気分。
振り返ればまだ歩き出さない岡田が居て。












「何やってんだよー早く行くぞー!」












声をかければ、動き出す。
戸惑い気味の岡田とさつまの上は、晴天。












何となく自分のしたことに嬉しくなって、俺は大きく空に向かって跳んでみせた。
後ろでは岡田がそんな俺を見て笑ってるんだろう。
さつまと一緒に、俺があげた晴天の下で。








END

いのっちは晴れを他の人にあげられる度量があればいいな、と思います。
2007.7.9