ジャスミン
Side I
珍しく晴れた空。
雨男だと言われ続けた俺にとって、最高の天気。
昨日よりぽかぽかあったかくて、思わず寝すぎてしまった。
ただ今、朝の11時。
今日一日仕事もないし、約束もない。
思いっきりフリーなことが、嬉しくて。
ぐん、と伸びをすれば、手に当たる硬いもの。
目を向けると携帯電話。
メールが届いている合図、有り。
眠気も吹っ飛んで、大急ぎでそれを開けば。
新着メール、2件。
『よっちゃん、HAPPYBIRTHDAY!三十路から先に進む早さ、実感してる?(笑)31歳最初の日が素敵なものでありますように。朝早くに起こしちゃったらごめんね』
長野くんだぁ。
時間を見れば、朝の6時過ぎ。
こんな早くに何してるんだろう。
気になって、うつ伏せのまま長野くんの携帯番号を押して、耳に当てた。
『もしもしー?』
「あ、長野くーん!今メール見たよー!ありがとー!」
『いえいえ。誕生日おめでとう。今見たってことは・・・寝坊した?よっちゃん』
「うん、久々にね〜。ありがとー長野くん、今どこ?」
『今?今は・・・千葉に入ったとこかなぁ』
「千葉?えっと、ロケだっけ?」
『ううん。仲間とツーリングに来てるんだ。こっちも晴れて気持ちいいよ』
「いいなぁ。俺もバイク乗りてぇよー」
『今度後ろに乗っけてあげようか?』
「ホントー?!絶対、約束だよー!!」
『はいはい。・・・あ、うん。わかった』
「?」
『そろそろ出るみたいだから切るね』
「うん」
『誕生日プレゼントは次会った時に。多分Mステ辺りには渡せると思うから。よっちゃん、いい誕生日を!』
「ありがとー!うん、ばいばーい」
楽しそうだったな、長野くん。
あ、そういえばもう1件着てたんだった。
誰だろう。
『井ノ原、誕生日おめでとう。今日晴れたのは俺のおかげだぞ。感謝しろよ 坂本』
坂本くんじゃん。
っていうか、何このメール。
最初だけお祝いしてて、後の方は自慢?
疑問符をたくさん頭の中に浮かべながら、今度は坂本くんの携帯番号を押す。
『・・・・・・もしもし』
「ちょっとー俺だけど!何あのメール!どういうことよー?!」
『・・・・・・だれ?』
「井ノ原よい・の・は・ら!」
『あー・・・井ノ原、かぁ』
「何、坂本くん寝起き?」
『おう。早く起きすぎてもっかい寝てた』
「あは、おじいちゃんv」
『うっせ』
「っていうかあのメールなんなのよー!坂本くんのおかげで晴れたとかって、よくわかんないんだけど!」
『んー、昨日、暇だからてるてる坊主作った』
「誰が」
『おれが』
「・・・何で?」
『お前が雨男だから』
「・・・・・・ありがとう?」
『なんで疑問系なんだよ』
「いや、よくわかんねぇし」
『・・・俺も、よくわかんねぇ』
「・・・あの、さぁ」
『んー?』
「俺が電話したのに、一言も無いわけ?」
『あーおめでとおめでと』
「超適当じゃん!」
『あはは。あー・・・眠いからもう寝るわ』
「今日暇なの?」
『一日中オフだけど』
「じゃあ俺んち来て料理振舞ってよー!」
『面倒くさいからパス。オフくらいのんびりさせろ。友達多いんだから誰か誘えよ。じゃーなー』
ぶち、と切られる着信。
どれだけ適当なんだよ、坂本くん。
っていうか俺、すっげぇ可哀想じゃない?!
他の三人はどうしたんだよー!
メールとか電話とか、してくれたっていいのにー!
もそり、と起き上がり、もう一度、伸び。
こーんないい天気なんだから、何かしたくなる。
ええと、ええと。
・・・うん、そうだ。
料理、しよう。
最近結構料理をするようになった。
手軽に出来るレシピが多くなったし、自分で作った方が安いし。
振舞うと、喜んでもらえるから。
簡単レシピの雑誌をぺらぺらと捲って、決める。
春野菜のパスタ。
五月晴れの今日にはピッタリだね。
冷蔵庫を漁ってみれば、ブロッコリーに、パプリカに、トマト。
キャベツも丸ごと買って入ってある。
パスタも貰い物があったっけ。
よしよしよし。
こういうのって足りない材料があると作る気無くしたりするんだけど。
今日はバッチリ。
「さー、作るぞー!」
気合を入れて、フライパンを握り締める。
あ、最初は野菜を切らないと。
お湯も沸かさないと。
調理器具のチョイスミスに一人で照れながら。
俺は野菜を洗い、怪我をしない程度の早さで包丁を動かした。
Side O
目を覚ませば、光が差し込む。
いのっちの誕生日だから、てっきり雨かと思ったのに。
うーん、と伸びをして、ベッドから起き上がる。
カーテンの端っこにぶら下がっている、ティッシュで作られたそれを突いた。
垂れ目で、和み系のその顔。
誰が書いても似てるっていうのが、カワイイと思う。
お前の効力、結構凄いなぁ。
そう、微笑めば、いのっちてるてる坊主は得意気にくるりんと一回転して見せた。
ぶぶぶぶぶぶ
結構大きめな音を立てて、携帯が震えた。
駆け寄って開ければ、珍しい人からの着信で。
今日は珍しいことだらけやな、と一人ほくそ笑みながら、通話ボタンを押した。
「もしもし」
『よぅ。今日、暇か?』
「暇、やけど。何?遊ぶ?」
『いや、俺今日井ノ原くんちに行こうと思っててさ』
「なんで?」
『誕生日だから。連絡入れないでプレゼント持って、驚かしてやろうかと思って』
うひょ、と楽しそうに意地悪く笑いながら。
剛くんの声が携帯を繋いで聞こえてきた。
サプライズバースディ、か。
「剛くん、珍しいなぁ」
言って笑えば。
『俺は暇なだけだっつの!健は仕事でNYに行ってて来れないから、お前誘っただけだし!』
と、慌てたような声が返ってきた。
そうか。
健くん、ロケやもんな。
ってことは健くんがもし居たら俺、スルーされてたってこと?
「はぁ」
『溜め息つくなよ。来るの?来ねぇの??』
「あぁ、行く行く。俺もちょうどプレゼント買ったし」
前に事務所から大量にレコードを貰った時。
いのっちと俺だけがそれを漁っていて。
あのレコードが欲しいんだけどねぇよなぁ、なんていのっちがぼやいていたのを覚えていた。
それからかなり時間は経ったけれど。
この間ふと立ち寄ったレコードショップで、発見して。
ちょっと値は張ったけど、いのっちの喜ぶ顔を思い浮かべたら安いもんだ、なんて。
誕生日も近いし、と言い訳じみたことを呟きながら買ったのだった。
いつ渡そうかななんて思ってたところで。
剛くんの申し出はとってもありがたかった。
『じゃあ決まりな。12時に駅で待ち合わせしようぜ』
「おん、分かった。ほな、後でな」
言って、通信を切る。
時計を見れば、11時を過ぎていて。
うわ。
今から用意して徒歩じゃ到底間に合わない。
携帯を駆使して時間を調べれば、丁度いい時間帯の電車があって。
これに乗っていこうと決め、大急ぎで服を着替えた。
昼間の電車はかなり空いていて。
乗客が少ない車両を選べば、これまた見事に誰も乗っていなかった。
ラッキー。
周りに気を回さないで済む。
誰も居ないとなると、色々やってみたくなり。
とりあえず、吊り輪を両手で掴んでみたり。
大きく足を広げて座ってみたりした。
久しぶり、やなぁ。
仕事をするようになってから全くと言っていいほど使わなくなってしまった、公共機関。
使うとしても新幹線か飛行機で。
電車は顔が割れると面倒だからと、乗らなくなった。
すとん、と座席に腰を下ろし、外の景色を眺める。
ゆったりと移り変わる景色は綺麗で。
ほんわり俺を照らす陽の光は、あったかい。
五月。
いのっちにピッタリの季節だと思う。
彼の笑顔は、この陽の光と本当にそっくりなのだから。
やりたいことをやり尽くして、あっという間に手持ち無沙汰になる。
電車って、意外と暇なんやなぁ。
ごそごそとプレゼントの中身を確認してみた。
俺、よく中身間違うから。
はっぴいえんどのレコード。
限定200枚、だっけ。
レアなライブ音源が沢山入ってるから、と物凄い欲しそうにしてたいのっちを思い出して、笑う。
喜んでくれるとええなぁ。
思いながら、座席にゆったりと背中を任せ、外の景色に目を戻した。
Side I
とんとん、とまな板に包丁があたる音が心地いい。
洗った野菜を切って、ちょっとつまみ食い。
8分の1にカットしたトマトを口に運べば、甘酸っぱさが口に広がった。
うん、美味しい。
パプリカも、色が綺麗だ。
何か塩分が欲しいと冷蔵庫を漁って、ベーコンを取り出す。
コンロにかけた大きい方の鍋を覗くと、もうちょっとで沸きそうな様子。
小さい方の鍋はもうお湯が沸いている。
その中に切ったブロッコリーと塩を入れ、再び沸騰したら取り出す。
ちょっと固めに出来たけど、上出来。
ブロッコリーを齧っていた俺の耳に、インターホン。
もぐもぐと口を動かしながら玄関に行くと、速達です、と郵便のお兄さんに一枚の手紙を渡された。
ご苦労さま、と労えば、笑顔が返ってくる。
海外郵便。
姉ちゃんかな、と宛て先をよく読めば。
たどたどしい英語で、見覚えのある綴り。
Ken Miyake
あれ、健ちゃんじゃん。
そういえば今NYに居るっつってたっけ。
俺の誕生日なのにー!とごねた俺にごめんごめん、と。
悪びれもなくあっさりそう言って、旅立った彼の姿を思い出す。
大急ぎで封を開ければ、中身は日本語。
『誕生日おめでとう井ノ原くん!31歳だっけ。坂本くんや長野くんに負けないくらい良い年の取り方をしてる井ノ原くんを羨ましく思います。
本当はメールを送ろうと思ったんだけど、せっかく外国にいるんだし、メール便っていうのも悪くないでしょ?っていうか格好よくない?
今は配達日時も設定出来て、便利な世の中になったね。昔は早く着きすぎちゃったり、遅かったりして大変だったけどさ。
俺は今NYで仕事の合間、のんびり過ごしてます。こっちに井ノ原くんのお姉さんがいるんだっけ?違ったっけ?よく知らないけど。
海外に行くと東京の居心地の良さを実感するよ。早く帰ってきて皆に会いたいー!あ、井ノ原くんは除外してね(笑)
俺が居なくて寂しいかもしれないけど我慢して、良い誕生日を過ごしてください。プレゼントは帰国してから。じゃあね。 健』
特徴的な字。
仕事の合間にコレを書いてくれたんだと思うと、嬉しくなる。
何度も何度も読み返せば、じゅわっと何かが零れた音。
あ、お湯!
慌てて戻って、コンロの火を緩める。
塩を入れて、パスタを袋から取り出した。
これ、どれくらい入れればいいっけ。
1キロ分入ってるんだから、一人100グラムと考えて、これくらい、かな。
目分量で手に取り、坂本くんを真似て格好良く入れてみる。
ぱらっと鍋の端に広げるように。
うん、格好良い俺。
冷蔵庫に貼ったタイマーを時間に合わせて。
菜箸で鍋の中のパスタを時々掻き混ぜながら、健からの手紙をまた読んだ。
ふふふ。
ホント、健ちゃんってば俺のこと大好きなんだから。
・・・・・・あれ、ちょっと待て。
この『井ノ原くんは除外してね』って何よ。
俺だってメンバーなんだから、会いたいって言ってよー!
ぴぴぴぴぴぴぴぴぴ
うわ。
タイマーの音に本気でビックリした。
鍋の中のパスタを菜箸で一本取り出して、口に運ぶ。
うん、いい感じ。
なんていうんだっけ、これ。
えーと。
そうそう、アルデンテ。
芯が少し残った感じで、取り出す。
ザル、どこだっけ。
あ、これこれ。
流しにザルを置いて、ざーっとお湯ごと鍋の中身を流す。
ザルの端を持って、水を切り。
一旦それを置いてフライパンに油を引き、ベーコンとパプリカ、それにキャベツを入れて炒める。
ブロッコリーを入れてから、茹で上がったパスタを一気にフライパンの中へ。
フライパンを揺すって、中身をよく混ぜて。
うーん、いい匂い。
いい具合にお腹も鳴ってくる。
あ、でも。
ちょっと、量、多くない?
さっきのパスタの適当計量が良くなかったみたいで。
一人用の皿じゃ、足りなくて。
少し大き目の皿にそれを盛った。
どうやらこれは、昼夜兼用のご飯になっちゃう予感。
まぁ、いいけどさぁ。
とりあえず、後は飾りつけだ。
料理は見た目も大事ってね。
そう呟きながら俺は腕まくりをして、トマトを片手に格闘を始めた。
Side M
早く起きた朝。
珍しく俺はオフで。
晴れた空を窓から見ていたら、ふと。
ああ、今日井ノ原くんの誕生日じゃん、と思った。
電話をしようと思って携帯を開き、ボタンを押す直前に動きを止める。
いいこと、思いついちゃった。
井ノ原くんを、ビックリさせる方法。
サプライズプレゼント、ってのはどうよ。
何にも言わないで自宅に押しかけて、プレゼントを渡す。
確か、井ノ原くん今日はオフだったし。
友達が居たって、一緒に騒いじゃえばいいし。
あの人が細い目をいっぱいいっぱいに見開いている姿を想像して、一人小さく笑った。
一人で行くのもなぁ、と思い。
最初に思い浮かんだのは健。
あ、でもヤツは確か今NYにいる。
そっから今日駆けつけるには、遠すぎるな。
坂本くんや長野くんはスケジュールがわかんないし。
後は・・・岡田。
アイツは今日オフを取っているはずだ。
そう思って試しにかけてみれば、いい返事をもらえたから。
12時に待ち合わせをして、俺は家を出た。
岡田は既にプレゼントを買ったらしいけど、俺はまだだったから。
何を買おうかな。
井ノ原くんにピッタリのもの。
うろうろと歩き回っていたら、待ち合わせの駅の傍に一軒の花屋さんを見つけた。
そういえば、あの人植物育ててたっけ。
店内に足を踏み入れれば、ふんわりと香る、匂い。
何か、お茶、みたいな。
「何か、お探しですか?」
声をかけられて振り向けば、店員さんらしい女の人が立っていた。
綺麗、というよりはカワイイ感じの。
彼女が手に持っている花、みたいな人。
その花から香る、さっき感じた匂い。
「それ、何ていう花ですか?」
「これはジャスミンっていう花です。ほら、ジャスミンティーってあるでしょ?」
「ああ、どうりで」
お茶の匂いがすると思ったのはその所為か。
納得した表情をしていた俺を見て、その人は笑った。
「この素朴な感じが好きなんです。身近だし、見ていても匂いでも癒される花ですから」
素朴。
身近で。
見ていて癒される。
まるで誰かさんのことを言ってるようなキーワードに俺も笑って。
ピッタリなプレゼントが見つかったな、と思った。
うん、これがいい。
井ノ原くんもきっと、喜んでくれるだろう。
「それ、一つください」
そう言った俺に。
彼女はありがとうございます、と微笑み返した。
どうせ近くに居るし、とラッピングを断って。
鉢を抱えて、匂いを嗅ぐ。
癒される匂い、ね。
確かに。
陽の光に照らされ、風にそよぐ花。
ふと携帯を見れば12時は少しだけ過ぎていて。
駅の方向を見ていたんだけど、岡田の姿はまだ見えなくて。
アイツ、遅ぇんだよ。
そう思い、舌打ちをすれば。
物凄いゆったりした足取りで岡田が改札に見えた。
「遅ぇんだよー!」
声を上げれば、気づいて少し早くなる足どり。
手には紙袋を持っている。
あれが、岡田からのプレゼントか。
「ごめん剛くん、遅なってしもた」
「電車で来たのかよ?」
「おん。久々に気持ちよかったわ」
楽しそうなその様子に、待ち合わせ時間に遅れたことは許してやろう、と思った。
せっかくのオフだし。
綺麗な五月晴れだし。
井ノ原くんの誕生日だし。
皆笑顔っつーのが一番だよな。
うん。
「じゃあ、行くか」
「おん。・・・えーと、井ノ原くんちってどっちやっけ?」
「え、岡田知ってんじゃねぇの?」
「知らん。この辺に住んどるのは知っとるけど」
「俺も詳しくは知らねぇ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・なぁ、剛くん」
「なんだよ」
「俺ら、迷子ちゃう?」
珍しく的を得た岡田の言葉に。
俺はがっくりと肩を落とし。
岡田も俺の横に立ったまま苦笑した。
Side I
飾りつけ完了!
うわーすっげぇ美味そう。
あ、こういうの写メしといたらいいよね。
坂本くんと長野くんに送って、自慢しようっと。
ベッドの上に置きっぱなしの携帯をバタバタと取りに行って、盛り付けたパスタの元に。
光がいい具合に当たる場所を狙って、パシャっと。
ぴろりろりーん、と無駄に可愛い音が鳴って、携帯の中にパスタの写真が納まる。
今の時代は本当に便利だよなぁ。
その写真を保存して、今度はメールを開く。
添付ファイルにそれをくっつけて。
宛て先は長野くんと、坂本くん。
カミセンには直接見せてやろうっと。
件名に「お昼ご飯完成」と入れて、一括送信。
送れたのを確認して、携帯をポケットに戻した。
瞬間、震えるそれ。
長野くんか坂本くんからの返事かな。
いや、それにしちゃちょっと早すぎるな。
っていうか、バイブ音がメールじゃなくて着信のものだ。
ポケットから取り出して着信主を見れば。
『森田剛』
「もしもしー!剛ちゃーん!!すっげぇ電話とか珍しくないー?!」
『五月蝿ぇーちょ、岡田代わって』
「え?!岡田も居んの?仕事?仕事??」
『もしもしー』
「おう、岡田ー!どしたのー?」
『ええの?剛くん『仕方ねぇだろ家わかんねぇんだからよ!』
あれあれ。
何か言い合いしてるんだけど。
いのっちも入れてー。
『えーと、突然なんやけど』
「うん?」
『いのっち、迎えに来て』
え。
誕生日にアッシーですか?俺。
『ちゃうちゃう。誕生日プレゼント渡しに行くはずが、道わからんくなってしもうて』
「あ、なーんだ。そうなの」
拍子抜け。
そして同時に、嬉しさがこみ上げる。
皆、俺の誕生日覚えてくれてたんだなぁって、思えて。
『おん。近くの駅、あるやろ?そこの花屋さんの前で待っとるから』
「わかった。迎えに行くから待ってろよ」
言って、通話を切断した。
テーブルの上のパスタ。
作り過ぎといてよかったな。
あの二人と一緒にコレを食べる昼食なんて、絶対楽しい。
っていうか、俺が嬉しい。
それにラップをかけてから、俺は車の鍵を手に家を出る。
誕生日。
それは一年に一度やってくる、特別な日。
ねぇ。
こんなに沢山の人から祝ってもらえるなんて。
生まれてみるもんだね。
車を走らせながら。
これからやってくる二人の姿と表情を想像して。
ハンドルを握り締めて一人、笑った。
END
誕生日おめでとうイノさーーーん!!
ようやく真っ当にお祝い小説が書けた気がします。
だって、ほら、どこぞのカップルちっくなSSSしか書いてませんから(爆)
ジャスミンのPVを見ていて、これは絶対お話に出来る!と一人興奮して書きました。
ところどころ偽者です。はっぴいえんどのレコードも、イノさんの料理の具材も。
そんな細かいところはとりあえずしかとしてやってください。そこまでこだわる気力はありませんでした(笑)
現実設定のようで、そうじゃない話ですね。
ある意味現実パラレルのような、そんな不思議な感じで。
今年もあの人にとってステキな一年になりますようにと祈りつつ。
2007.5.27