キャラメルボイス。
いつまでも子どものままの顔。
・・・どっかで若さで売ってますから、とかなんとか言っちゃってたっけ。
思ったことをズバッと言ってのける度量。
屈託なく浮かぶ笑顔。
全てが、初めてだった。
少なくとも、俺の周りにはいなかった人種。
それが健ちゃんだったのだ。
だったっつーか、今もっていうか。














































楽屋裏事情
























































































「井ノ原くーんっ!」
「おー健ちゃー・・・おぐっ!」
背後から笑顔で走り寄ってきた彼に振り返って笑みを浮かべた瞬間。
身体ごとアタックされてソファに沈む。
わき腹にクリーンヒット。
しかもマウントポジション取られてたりして。
い、痛重ぇ。
「お前、ちょっ・・・なんだよぉ」
「あっはははは☆」
普通のヤツだったら俺、絶対殴ってると思うんだけど。
健の楽しそうな顔を見るとこっちまで笑えてくる。
そんな、天性の持ち主。
俺は渾身の力を込め、身体を起こした。
けど、健がいるから半分起き上がった状態にとどまる。
あー・・腹筋にくる。
ぷるぷるいっちゃってるよ。
「健ちゃん、降りて。結構限界近い俺」
「やだねーココ、俺の席だし」
「・・・イノッチ座席じゃないんですけどー」
不貞腐れてみるも、健には何の効き目もなかったらしい。
あっそ、みたいに流されて、逆に落ち込む。
健の中での俺の存在って椅子かよ?!みたいな。






助けを求めようと周りを見回すも。
剛は俺らの方を見てめっちゃめちゃ楽しそうに笑ってるし。
うひょひょひょって・・・そろそろその笑い声なんとかしろよ!大人だろ!
長野くんはグルメ雑誌に夢中。
豚まんのすべてってタイトル、超気になるんだけど。
ダーリーに至ってはこっち見てもいないし。
うわ、今チラッと見た!こっち見た!!
絶対見ないフリしてるよあの人!





・・・あっ岡田!
岡田近くにいる!!






「岡田ーヘルプミー!!(泣)」
「・・・俺、日本人やから英語わからん」






あはは、と。
どっかで見たようなCMのオチをパクった苦笑気味の末っ子は。
ソファの空いているところに腰を下ろして本を読み始めた。
その場所、俺の背中側。
せ、狭っ!
ってか、ただ面倒くさいだけじゃんかよ!





「なんでわざわざここに座るんだよ・・・?!」
「えー、近いから?」
「聞いてんのに疑問形で返すんじゃねぇ!!」
「あっは☆岡田マジ空気読めるなー」
「 読 め て ね ぇ よ ! ! ! ! ! (半泣)」







カミセンわかんねー。
というか、メンバー全員わかんねー。
俺を助けてくれる善良な若者が見当たらない。
・・・若者って年でもないけど。







脱力した俺はとうとうぱたん、と倒れこんだ。
足が笑うみたいに腹が笑ってるよ。
筋繊維何本か断裂してるんじゃないだろうか。
しかも。
倒れこんだ先が不味かった。
あろうことか、岡田の膝の上。






「うわ、イノッチなにすんねん」
重いしキモいしウザいわ、と言いのけられてへこむ。
「・・・乏しい腹筋で今まで頑張った俺への賞賛の言葉はねぇのかよ」
「はいはい、ごくろーさん」
宥めるように俺の頭を叩く岡田の手。
そして覗き込んでくる健と剛の顔が余りにも意地悪く歪んでいたから。
俺はぷるぷると首を振って頭にあった手を払う。
「俺は子どもじゃねぇ!」
「子どもやん。なー博」
岡田が不意打ちで問いかけたにもかかわらず。
長野くんはあっさりと受け答えた。
「よっちゃんのどこが大人だってー?」
「長野くんは黙っててよー!」
顔は見えなくとも表情は分かる。
絶対楽しそうに笑ってるんだ、長野くんは。
そんでそんで。
その向こうで坂本くんも笑ってるに決まってる。
かみ殺したような声、聞こえてないと思ったら大間違いだ。
にんまりと長野くん直伝の笑顔を浮かべた岡田が俺を見て笑う。
綺麗なんだけど。
美形なんだけど。
今の俺にはただのムカつく顔にしか見えねぇ。
「2対1やで。剛くんと健くんはどない?」
「「井ノ原くんはまだまだ子どもだと思いまーす」」
「一字一句間違えずにハモるんじゃねぇ!!」
「坂本くんも子どもだって方に一票だってさー」
「ダーリーまで俺の敵かよ!!!」






5対1。
確実に俺の負け。
や、もうどうでもいい。
健ちゃんが俺の腹の上から降りてくれれば、それで。








そんな、楽屋裏。






END

ただじゃれてるメンバー(カミ+イノさん)を書きたかっただけなのでした。
2006.11.9