そう、願って止まないのだ。
いつも俺は。


































































不器用で素直な








































































井ノ原の回し蹴りから始まった小競り合い。
暴れまくった挙句、何が可笑しいんだかいいだけ笑って二人してダウンした。
アイツは映画のプロモーションをかなり細かくやってたみたいだし。
俺は俺でやっともぎ取った休みだったから、お互い疲れ溜まってたんだろうな。
考えなしに暴れるところは昔と全然変わんねぇ、と。
見慣れた天井に顔を向けて、一人笑う。
くそ、デコとわき腹が痛ぇ。









隣の悪友は変わらず体力ないようで。
さっきまであはあは笑いっぱなしだったけど、それももう聞こえない。
声をかけても無反応。
耳を澄ませば小さな寝息。
風邪引くと困るから、手近にあった毛布をかけてやる。
このまま寝てくとか言わねぇだろうな。
俺、明日朝からロケなんだけど。





























井ノ原はつらくなると途端に寂しがり屋になる。
自分では自覚はないみたいだけど、付き合いの長い俺や坂本くんや長野くんには丸見えで。
そういう時って毎回結構坂本くんとか長野くんとかに頼るんだけど(っていうかイノが言わなくてもあの二人がちゃんと気づいてくれて対処してくれんだけど)
今回は俺にもそのチャンスが来たもんだから妙に嬉しくなっちゃって。
絶対どうにかしてやる!っつー意気込みの中、井ノ原を家に迎えた。
遠慮なしにずかずか入ってきて買い物袋ぶつけられるのまではいつも通りだったから、アレこいつもしかして本当に暇だっただけか?なんて思ったりもした。






だけど、答えは全部顔に出てた。
引きつった笑み。
ヤツとしてはきっと笑ってるんであろう顔。
付き合いの浅い友達にだったら確実に通用する表情。
そんなもんで俺を交わそうとしてるんだったら、心外。
それだけならまだしも、突っ込むところで躊躇うわ、飯作ってやっただけなのにあんだけ嬉しそうにするわ。
何か溜まってんのかと思ってそれを発散させようとわざと喧嘩ふっかけたのに笑ったまんまだわ。
しかも本人は自覚ゼロな全く困った悪友で。
言うつもりはなかったんだけど、俺の先天的お節介気質に背を押されて口にしてしまった。
井ノ原は言っても頑固にそれを否定するヤツだって、分かってる。
分かってるけど、言わなきゃ気がすまない、そんな俺。








 
「・・・・・・馬鹿、だな。お互い」









アイツが背負ってるものは分からない。
辛さも、弱さも、何一つ分かち合える術は持ち合わせてなくて。
結局何も出来ないまま。
一人で消化するのが最善だって思ってるならいい。
それで全てを終わりに出来るのなら、全然構わない。






だけど。
自覚がなくなるほど溜め込んで溜め込んで、消化しきれず壊れてしまうのなら。
その前にちょっとでも手ぇ貸してやれりゃいいなぁなんて思うわけだ。
俺だって色々あるけど、人の辛さを持てないほど大荷物なんかじゃないから。





井ノ原より一回りはでかい自分の手を見つめる。
あまりにも無力なそれ。
手を取れば、振り払われ。
優しく撫でれば牙を向けられる。
出来ることと言ったら、アイツの薄い背中を叩いてやることだけだ。
励ますように、前に押してやるように。
痛いくらい叩いてやれば、俺がいることに嫌でも気づいてもらえるから。









「お前一人くらいどーってことねぇのによ・・・」










起きてる時にゃ言えない、臭すぎる台詞に顔を顰めつつ。
呟いた言葉が届いてくれたらいいのに、と。









願って止まないのだ。
いつも、俺は。









END
オマケでマボやん一人語りSSS。
この人だけを動かすと決まってシリアスになるというオチ(どんなだ)
タイトルの後ろの言葉はあえて隠しました。
話を読んで好きなように当てはめていただければ嬉しいです。
2007.2.19