うそつき うそつき。 坂本くんのうそつき。 井ノ原はそう小さく呟いてから、ペタンと地面に座り込んだ。 空っぽの部屋。 鉄格子に囲まれた、自由のない場所。 響くのは、嫌に近くに聞こえる自分の鼓動と鼻を啜る音だけ。 どこにいったの。 誰に会いにいったの。 言わないでいくなんて、ズルイよ。 ごめんな、とアナタは言った。 絶対許さない、と俺は意地を張ってみたけれど。 そんな俺を苦笑気味の顔で見て。 坂本くんはふわり、と身体を浮かせた。 俺はお前が笑ってられるように頑張るだけだ。 だけどそれを実現するためには今の世界はあまりにも冷たすぎるから。 だからいくんだよ。 そうやって皆俺の前からいなくなるんだ。 長野くんも剛も健も准一も。 ねぇ、知ってる? 皆俺が笑ってられるように自分の命を削って削って削って。 その度に俺の笑顔で喜んでくれる人がいなくなるんだ。 誰のために笑ってんの? 皆を死なすために笑ってんの? それから笑わない。 笑いたくなんか、ない。 俺が笑うのは皆がいるから。 幸せで楽しくて俺のことを大好きだよって言ってくれる人がいるから。 それすら奪われてしまったら、どうすればいい? カコン 落ちた涙は塊になって床に音を立てて落ちた。 これを求めて大金を払う輩がいるらしい。 俺が外をまともに歩けないのは、全部コレの所為だ。 こんなもんが欲しいならいくらだって泣いてやる。 だから、俺から大切な人をこれ以上奪わないで。 うそつき。 どこにもいかないって。 お前と一緒にいるからって約束したじゃない。 坂本くんの、うそつき。 でも。 それ以上にしっかりと手を伸ばして行くなと言えなかったのは、俺の罪だ。 >超パラレルSSS。囚われの身のイノさんを自由にしようとする5人の図。設定はちょっと某アニメに似てますね(痛) |