年の離れた弟っていうのは可愛いもんだ。
俺はいつもそう思う。
だから、ついつい甘やかしちゃったりしてカミセンに甘すぎって怒られちゃったりするんだけど。
可愛いもんは可愛いんだからしょうがないでしょ。




隣で笑って





控え室にたどり着いたのは俺が一番だった。
まぁ時間にきちんとした人はウチのグループ内ではあんまりいないから普通のこと。
てくてくと足を進め、椅子に座ってグルメ雑誌を広げる。
これもまた、普通のこと。
新しく出来た釜焼きピザの店だとか、ふわっふわのスイーツの店だとかを物色していると。
おはようございまーす!とやけに元気な声が遠くから聞こえてきた。
ああ、来たな。
「長野くん、おはよー!」
何が楽しいんだか、にっこにっこしながら井ノ原が近づいてくる。
「おはよ。今日も楽しそうだねぇ」
「うん!今日さー占いで牡牛座が1位だったんだよね!」
それだけのことでここまでご機嫌になれるのが、井ノ原らしい。
細い目を一段と細くして楽しそうに話す。
天秤座は4位でラッキーカラーは紫だったよ、と俺の分まで見てくれてたりして。
ちょうど着ていたシャツが紫系統の色だったもんだから、井ノ原は嬉々とした目をして俺を見た。
さそり座が最下位だったから今日は岡田をからかうつもりらしい。
「来たら速攻でアイツに最下位だったこと教えてやるんだーラッキーカラーも教えてやんないっ」
「よっちゃん、趣味悪いよ」
「えー?でも長野くんだってするって絶対」
「そりゃね。岡田を虐めるのって楽しいからねー」
「だろー?」





ほら。
こんな風に、どうも俺は井ノ原に甘いところがある。





でも、俺だけじゃないんだよね甘いのは。
一つ年上のウチのリーダーも、俺と同様に井ノ原に甘い。





「はよーっす」
噂をすれば影。
坂本くんが少し眠そうな顔をして控え室に入ってきた。
「おはよー坂本くん!」
にっこにこしながら挨拶をする井ノ原を見て口の端が緩んでるのが見える。
わかるわかる。
懐いてくれてるのがわかって嬉しくなっちゃうんだよね。
獅子座は7位でラッキーカラーは黄色だよ、と井ノ原が言うと、坂本くんは微妙な位置だなと苦笑しながらも黄色を探している。
でもどうやら見当たらなかったみたいで。
まぁいいや、と諦めた坂本くんに、井ノ原が自分のハンカチを差し出した。
「これ、貸したげる!」
「ああ・・・さんきゅー」
くしゃくしゃに折れ曲がったそれは決して綺麗とは言いがたかったけど。
坂本くんは気にせずそれをポケットにねじ込んだ。





「そういや井ノ原のラッキーカラーはなんなの?」
尋ねると、えーっとねぇと腕を組んで考え込む。
「・・・・・・・・・なんだっけ」
「お前人の覚えといて自分の忘れてんのかよ」
坂本くんが呆れたようにそう言うと、井ノ原は唇を尖らせた。
「・・・いいじゃん、1位だから何もしなくてもラッキーなの!」





ああ、もう子どもみたい。
でもそんなところが可愛いんだよね。
自由奔放なよっちゃんに振り回されたりもするけど、大概はそれに助けてもらったりすることが多いから。
大切な彼の笑顔を失くさないように、俺は今日も隣で笑う。


>よっちゃん大好きなツートップ。尻切れっぽいのは見なかったことに(爆)