続・新人サンタの初仕事(25日限定拍手でした)



24日、真夜中2時。
いよいよ俺は初仕事に取り掛かった。
といってもやっぱりサンタを信じてくれてる光はちょっとしか見えなくて大忙しってわけでもない。
新しい携帯の機能や宝くじ当選みたいに夢見てるくらいならサンタさん信じてくれたってバチは当たらない気がするんだけど。
そう一人呟きながら俺はソリを滑らせ家を回っていく。
まぁくんとやらの家はここかー。
つーか今の日本には煙突がある家がなさ過ぎ!
サンタさんは煙突から入ってくるっていうセオリーが通用しないじゃないのよ!
ま、そんなこともあろうかとサンタには色んな能力が備わっているわけで。
俺は何事もなかったようにすぅっと壁を通り抜けた。



たどり着いたところが寝室でよかった。
居間はまだ明かりがついていて、両親まだ起きてんのかなさっさと寝ろよと俺はそう思う。
くぅくぅと寝息を立てて夢の中。
この前会った3人はそれぞれ靴下をぶら下げ、幸せそうに眠っている。
ホント可愛い。
俺、こんな弟だったら100人いても全然構わないんだけど!
とすっと白い袋を床に置き、中を探る。


目元にホクロが2つあるこの男の子にはサッカーボールを。
女の子みたいな顔立ちのこの子にはゲームソフトを。
そして、俺に一番始めに手紙を手渡してくれた黒髪の少年には、何冊かの本を。


それぞれ靴下の中に入れようとして。
ふと。
その中に先客がいるのに気づく。
なんだこれ、と取り出してみれば、フェルトで作った小さな靴下に入った飴玉と、手紙。


『サンタさん、ありがとう』
『さむいからかぜひかないようにしてね』
『らいねんもうちにきてください』


平仮名で一生懸命に書かれたそれに、不覚にも俺は眼を熱くした。
一番のクリスマスプレゼント、もらっちゃったよ。



「・・・・・・・・・誰だ?」


急に声がしたもんだからビックリして振り向くと。
そこにはあの怖い顔のお兄ちゃんが立っていた。
俺の姿を認めると、ホッと一息つく。
「お前か」
「何よその反応は」
「いや、泥棒かと思ったから」
よくよく見れば手に箒を持っている。
それで泥棒を追い返そうとでもしたのだろうか。
物騒な世の中、相手が刃物持ってたら返り討ちだぜまーくんよ。
アンタいなくなったらこの三人どうすんの。
「まだ起きてたの?」
「ん。なんだか寝つけなくてな」
言いながら彼は眠っている3人に優しい目を向ける。
靴下に入ったプレゼントを見て、今度は俺にその目を移した。
「ありがとな」
「何が?」
「プレゼント、運んできてくれて」
「何言ってんのよ!プレゼント運ばないサンタなんてただの髭もじゃのおじいちゃんでしょ??」
「お前は若いけどな。髭もないし」
「そういう突っ込みはいらねぇっつーの」
んべ、と舌を出して対抗すれば。
まーくんは少し悲しげに瞳を揺らした。


「・・・・・なしたのさ?」
「・・・その帽子、外せるか?」
サンタのトレードマークである赤い帽子を指差して彼はそう言った。
まぁ外せないこともないぜ、と取って見せれば、感嘆のため息をつく。
「なに?」
「お前本当にそっくりなんだよ、弟に」
「弟って・・・あの三人のうちの誰かってこと?」
俺あんなにくりくりっとした目してないぜ、と言えばふるふると首を横に振られる。
「ここにはいない」
「どうして?」
「去年、死んだんだ」
病弱な奴でさ、とまーくんは付け加える。
「でかくなったらきっとお前みたいになると思う」
嬉しそうに、眩しそうに俺を見て。
それが余りにも優しげだったもんだから、俺は目を反らしてしまった。
「死んだ人に例えられてもそんなに嬉しくないんだけど」
「・・・・そうだな。すまん」
素直に謝るこの人をみて、俺はつんと鼻の奥が痛くなるのを感じた。
うわ、涙腺緩みすぎ俺。


「・・・ねぇ、アンタもそろそろ寝てくんない?」
「何でだよ」
不思議そうにした彼に人差し指を向けてつん、とおでこを突けば。
ふらり、と足元が揺れてぺたんと座り込む。
顔の前で手を振ってみて、反応がないのを確かめる。
世知辛いこの時代、こういう技がないとサンタさんはやってられないんだよ。
ずるずると彼を引っ張り、どうにかベッドに寄りかからせて毛布を一つ。



「サンタさんは誰にでも平等に現れるんだよ。信じてさえいればね」



赤ちゃんだろうが、おじいちゃんだろうが。
信じていれば必ず現れるんだよ。
彼の傍にプレゼントを3つ置く。
これは下の三人からの優しいプレゼント。
彼自身の欲しがっている4つ目はもうあげた。
死んでしまった弟が大きくなった姿を見たかったって無茶苦茶言うよ。
俺が素直に天国行ってたらどうするつもりだったんだっつーの。



・・・・・・ねぇ、まーくん。
俺、幸せだったよ。
たくさん一緒にいてくれて、たくさん泣いてくれたの知ってる。
それだけで嬉しかったんだ。
だから俺のこと気に病んだりしないで、元気でやって。




「バイバイ。・・・・また来年。長生きしろよな、まーくん」




言って、俺は白い袋を背負いながら家を出た。





















翌日。
プレゼントを抱えてはしゃぐ三人と。
包丁とプラモデルと4人分のマフラーと手袋に埋もれて、苦しいはずの体勢なのに何故か幸せそうな表情で眠っている昌行の姿があった。


>クリスマス限定拍手。こんな続きがあったりなかったり。ってか変な設定追加してみたりヒロスさんが出てなかったりしてすみません。