何食べたい?



記憶が飛んだ。
朝起きて譜面の整理をしていて、急に。
初めて視界がホワイトアウトするという体験をし。
そんな中、僕は傍に置いてあった携帯を無茶苦茶に操作した挙句、応答した誰とも分からない相手に「し、死ぬ・・・」と言い残したらしい。
覚えてへんのやけど、そうらしい。
電話の相手はごっそり両手に袋を抱えて僕の家を訪問し、ドアを開けた瞬間からさっきまで事の経路を細かく話し出した。





「あーもうホント焦ったのよ?!死ぬなんて言うから何事かと思ってだけど俺くらいになるとアンタがなんでそんなことを言ったかなんてお見通しなわけよ!」
紫色のエプロンを装着して(そういやウチになんで紫エプロンがあるのか疑問やったけど松岡の私物やったのね。納得)偉そうに言い放つも、用意してきたものはバッチリ的を得ていた。



「最近モノ食ってんの?!」
「えー・・・・昨日はチータラ食ったで」
「一日でチータラしか食べてないってオチじゃないでしょうね・・・」
「んー・・・あ、あとビール!」
「・・・・・アンタに期待した俺が馬鹿だった。そりゃそうよねアンタの家に野菜だとか肉だとか魚介類だとかきちんとあった試しがないもん食うわけねぇよなっとりあえずこれ食って待ってて!」
そう言われて押し付けられたのは、コンビニならどこでも売っているサンドイッチの類。
3種類の色とりどりの具材にぐぅ、とお腹が鳴る。
はむっと齧りつけばどんどん湧いてくる空腹感。
「松岡ぁ、僕腹減ったわぁ」
「気づくのおせーんだよ!!」
悪態を付きながらもトントンとリズムよく包丁を動かす音がした。
手際のよさはウチのグループ一とちゃうやろか。
のんびり見守っていると、10分もしないうちにチャーハンとスープとサラダが出てきた。
「手早く作れて簡単で美味いのはこれ!チャーハン!おまけにスープと後は肌の調子悪そうだから野菜!」
テーブルに解説込みでそれらをどんどん置いていき、早く食べろと急かす。



「ありがとなぁ」
そうお礼を言えば。
「・・・礼言うくらいなら最初っから心配かけないでよね」
と、言い返された。
目元と耳に紅が差しているのを見て、このぶっきら棒さが松岡なんやなぁなんて思う。
「心配してくれとったん?嬉しいわぁ僕」
「だだだだ、だっ誰が心配したなんつったのよ?!そんなもんこれっぽっちもしてないっつーのただ迷惑かけるなら始めっからかけないようにしろってことを言いたかったわけで俺は」
「あ、迷惑やったん・・・?」
「がっ・・・う・・・そ、そんなんじゃ・・・」
「ごめんなぁ、松岡」
「・・・・・・・・・・・・・・・!!!!」



しょぼくれてそう言えば。
顔面紅潮状態で慌てる男、一人。
・・・どうしたんやろ、謝っただけなのにあっちが泣きそうな顔になっとる。



松岡ぁ?と覗き込めば五月蝿ぇと怒鳴られた。
そんな怒らんでもええやん。なぁ?



>マボのツンデレをイマイチ理解しきれてないリーダー。