三日間しかと



「山口くーーーーんっ!!!」
遠くから走ってくる細目の彼に気づいたものの反応するのが遅くそのままタックルを食らってしまいよろける。
「な、なんだよ?イノッチ」
ふらふらと体勢を立て直せばぎゅむっと抱きつかれ身動きが取れなくなった。
「聞いてよ聞いてよマボやんがっ松岡が俺のことしかとすんだよー!」
「松岡が?」
「すれ違っても挨拶どころか目も合わせてくれないし抱きついてもぜんっぜん反応ない上にすっげぇ冷たい目で俺を見て無言で振り払って去ってったんだよ確かに格好いいしクールなマボやんも素敵ってな感じでファンの子の心境がわかったっていうか今年一番ってくらい胸がときめいたっていうかそんなことはどうでもいいんだけどっ!」
「・・・・・おぉ」
聞いていないことまでをベラベラと捲し立てて喋るイノッチ。
まるでシゲに褒められて照れた時の松岡とそっくりだなぁなんてのん気に考えてる自分がいた。
というか、松岡が怒るなんて珍しい。
怒ってもすぐに仲直りしてへらへら笑ってそうなのに、しかとまで入るとは意外と大事かもしれない。


「何があったんだよ?理由もなしにしかとなんてしないだろアイツも」
「それが、俺にもわけわかんなくて」
「全くないのか?」
「えーと・・・甘え下手のアヒル口とか言ったりー」
「・・・・・・・ほぅ」
余りにも子どもじみていてしかし的を得た表現に笑みを隠せない。



だが、イノッチの真髄はこれからだった。



「無理矢理オフの日一緒にしてデートスポット回ったりー」
「・・・・・・・・・」
「回って疲れたから外食にしようぜっつって適当な店に入って散々飲み食いしたまでは覚えてんだけどそっから記憶がなくて気づいたら家にいたりー」
「・・・・・・・・・」
「そういや夢現にかなり茂くんのことについて松岡からかいまくった記憶が・・・」
「イノッチ」
「なに?」
「それ確実にしかと決定」
「えええ?!どこが?!ねぇ俺のどこが悪いの?!!」
教えて山口くんとばかりにがくがく揺らしてくるイノッチ。
ああ、こんな鈍い友人を持つなんて松岡も不憫だ。
まぁ不憫なアイツを見てるのが面白かったりするからイノッチには感謝をしまくってる俺なんだけど。



その後、イノッチの泣き倒しに松岡が折れたらしく何だかんだで二人でいる姿が見受けられた。
仲良きことは美しきかな。


・・・って絞めたら松岡が泣きそうだな。



>イノマボお題消化その6。ぐっさん視点。