ハードワーカー



片方は大きな身体を二つに折り曲げて。
もう片方は細い身体を小さく丸めて。
騒がし好きで悪戯好きの悪友コンビが楽屋の隅で静かに寝ている。
珍しくグループ同士の仕事が一緒で。
楽屋も自然と一緒になり。
無駄に五月蝿くなるんだろうなぁと多少げんなりしていた両リーダーは拍子抜けた。
しん、と静まり返った楽屋内。
他のメンバーはぱらぱらといるものの、二人に気を使っているのだろうか、皆が皆、静かに時を過ごしている。
「おはよう、リーダー」
「おはよう、坂本くん」
小さな声で挨拶をしてきた山口と長野におぉとこちらも小さな声で受け答えた。
「あれ、何?」
坂本が眠っている二人を指差すと。
「二人とも一番乗りで楽屋着いたらしいんだけど、皆が来る前に二人で騒ぎ終わっちゃったみたいで就寝中」
「相変わらず仲いいなぁアイツら。あんな隅っこで固まって寝なくてもいいのに」
長野が説明し、山口が状況を見て笑いを堪えている。
寝方は違えども、寄り添ったようなその姿はまるでお昼寝中のネコのようで、坂本と城島の顔は綻ぶ。
「あいつら仕事立て込んでるからなぁ」
「せやな。疲れて寝てしもたんやなあの子らは」
近くにあった毛布を手に取り、二人は眠っている年下の彼らにそれぞれそれをかけた。
睡眠の邪魔をしないようにと立ち上がると。
城島は山口に、坂本は長野に制止される。
「え、なんで?邪魔やん僕」
「いいのいいの。茂くんがいた方が目ぇ覚めた時面白いから」
「お、おい」
「俺も山口くんとほぼ同じ理由」
確実に現状を楽しんでいる口ぶりにムッとするも、その笑顔に逆らえない両者は素直に二人の傍に座った。
ため息をついて、ふと。
自分たちの弟分の寝顔を眺める。
どれだけ年をとっても、どれだけ生意気になっても、寝顔は可愛いもので。
二人ともが知らないうちに崩れた表情になっていった。





「坂本」
「んー?」
「かわええなぁ二人とも」
「まぁな。ちっちゃい頃はもっと可愛かったけど」
「イノッチちっさかったもんなぁ」
「松岡だってアナタの背よりは低かったでしょ」
「そういやそうや。あっという間におっきくなってしもうたからなぁ」
「俺もそうだよ。気づいたら目線が一緒になっちゃって」
「僕なんて一緒どころか見上げるようになってん」
「ショックだったろ」
「ぉん。・・・・・・坂本こそ」
「・・・・・・・・・・・・・・うーん・・・だなぁ。ずっとちっちゃくてよかったような気もするな」
言いながら城島は松岡の頭を撫で。
坂本は井ノ原の頬を突っついたり、鼻を抓んだりした。





そんな二人を遠目で見つめる次男坊コンビ。
「なんか予想外だなぁ」
「いや、あの二人が揃うと自然と孫自慢が始まるでしょ」
「・・・・・・井ノ原と松岡って孫なの・・・?」
「どっちもおじいちゃんっぽいから」
「あぁ、なるほど」







年長二人の声に反応したのか、はたまた何かが触っていることに気づいたのか。
ぴくり、と松岡の体が動き、ぱか、と目が少し開いた。
夢現に誰かが撫でているのに気づく。
誰だろこれ・・・っていうか気持ちいいからいっかと再び目を閉じようとした時。
「あ、起こしてもうた?」
聞こえてきた声色に頭の隅からぐばっと覚醒し、ビックリして飛び起きる。
「りりりりりり、りーだー!!!!!!」
「そないに驚かんでもええやん。おはよ、よぉ寝たか?」
「お、起きたっちゃ起きたけどってかなんでいるのなんでここにいるのなんで自然と俺の傍で頭なんか撫でちゃってんだよアンタはーーーーーーー!!!!!」
「あでっ」
すかさず城島の額にデコ突っ込みが入る。
食らった方はなんやねんと拗ね気味に額を押さえ、叩いた方は耳まで真っ赤にして口をパクパクしていた。
「だって松岡がちっさい頃の話しとったら撫でたくなったんやもーん」
「もんとか言うなその年でもんとかそんなもんで俺が騙されるとでも思ったら大間違いだっつーの子ども扱いすんなもうすぐ三十路突入の男に!!」
「でも、気持ちよかったやろ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!!(半泣)」
なぁ、と同意を求めるように覗き込む城島の言葉に、松岡の顔はどこもかしこも赤くなる。
「ああああ、あ、アンタねぇ俺のことそんなにからかって楽しいのかよ頭撫でられてそりゃ確かに気持ちよくて夢の中に逆戻りするところだったけどそんなのは誰がやったって同じなんだよ多分!!!」
「あぁ、気持ちよかったんならよかったわぁ」
にっこりと笑いながらずれている回答を返してきた城島を見、自身が言った言葉を頭で反復させてようやく自分が墓穴を掘ったことに松岡は気づいた。
そしてたちまちがーーーっと目元が赤くなる。
「り、リーダーなんてもう知らねぇーーーーーっ!!!」
そう言い捨てると半泣き状態で楽屋の外に飛び出して行った。
呆然と彼を見送る城島。
ぽつりと一言。
「松岡は照れ屋さんやなぁ」
そう解釈出来る城島が凄いと隣にいた坂本が思った矢先。
くいくい。
服を引っ張られる感覚に下を向いた瞬間、物凄い力でぎゅぎゅぎゅーーーっと抱きしめられた。
抱きしめられたというか、絞められたというか。
当事者の井ノ原は短い時間にもかかわらず寝癖付きでにんまりと笑う。
「なーにーよーーーー俺の寝込み襲うなんてダーリーってば大胆っvv」
「い、いのはらくるしぃ・・・っ」
「さっきから鼻抓んでくるからてっきり人工呼吸始まっちゃうのかなーなんて期待してたんだけどぜんっぜん来ないからこっちから行っちゃーうvv」
「どんな解釈の仕方だお前鼻抓むイコール人工呼吸ってその思考レスキュー隊ぐらいだろっ!!」
「照れちゃってー俺とダーリーの仲じゃなーいvv」
「お前とはそんな仲になったつもりはねぇんだよ馬鹿野郎もう一回寝ろ!!」
坂本に引き剥がされて井ノ原はべちゃっと床とお友達になる。
顔を見合わせた城島と坂本。






「「・・・・・・そっちの方が可愛くていいな(ええなぁ)」」






END

>たくさん働くイノマボを労うつもりが失敗に終わったの図(遠い目)構って欲しい茂さんともうちょっと照れの欲しいまーくん。