えんぴつ



真剣な眼差しで執筆中の井ノ原くん。
コンタクトじゃなくてメガネで。
横顔を見ながら黙ってると格好いいのにななんて思ったことは心の中に止めてひょいと手元を見ると、シャープペンシルに時代を乗っ取られてしまった文房具が握られていた。
「何、井ノ原くん鉛筆なんか使っちゃってんの?」
「んー?うん、使っちゃってるの」
「何で?」
「シャープ家に忘れちゃって、借りようと思ったら鉛筆しかなかったの」
学生時代以来だぜ、なんて嬉しそうにしてる。
そういや、俺も鉛筆はご無沙汰だ。
この芯の匂いが好きだったりして。
「何書いてんの?」
「連載の原稿。終わったら遊んであげるからね〜剛ちゃんv」
「いっらねぇよ!ずっと書いてろこの細目!」
緩んでいる目元に向かってそう言葉を吐けば。
剛ちゃんひっどーいよっちゃん泣いちゃうと腕元に目を擦りつけ嘘泣きを始めやがった。
あーもうこういうとこがウザい。
「何々?何の話??」
横から楽しそうに長野くんが入ってくる。
この人も井ノ原くんほどじゃないけど結構介入好きだ。
しかも井ノ原くんに甘いし。



「よしよーし。よっちゃん泣かない泣かない」
「長野くーん」
「また!長野くん甘やかしすぎ!」
「抱きついたり泣いたりするとはっきり言ってウザいからやめなさいねー」



にこにこしながら毒を吐く長野くんに、俺も井ノ原くんも凍りつく。
手元には鉛筆。
うわ。
咄嗟に俺の口から出た一言。



「ケツで鉛筆割るのだけは止めてね!!」



>何が書きたいのかわからなくなりました(遠い目)