5. 良い子悪い子普通の子 良い子と悪い子の境目。 それは他人と足並みを揃えられるか否かだと俺は思う。 どれだけ大人の言ったとおりに動けるか。 良い子ね、って。 そう言われたくて頑張ってるやつもいるけど。 俺は嫌いだ。 どうして言うこと聞かなきゃなんねぇんだよって跳ね除けたくなる。 だって。 その「良い子」ってやつは結局、大人の体裁を守るために使われてるんだから。 「イノー」 「おー松岡ー!」 手を振れば振り返してくる、悪友。 コイツは結構俺に似てる。 「呼び出し食らってたのか?」 「おう。サッカーボールでガラス割って坂本くんにひっでぇ叱られた」 「あらら」 「でも長野くんが慰めてくれた。はい、これ」 井ノ原が手渡してきたもの。 小さな飴玉。 長野くんがくれたんだよーと上機嫌のアイツの口には既にそれが納まっていた。 子供じゃあるまいし。 ・・・って、まだ子供か。 「正直者のよっちゃんは偉いね良い子だねって。でへーv」 「照れんなキモい」 この学校の長野先生は井ノ原の従兄弟で。 小さい頃から一緒だったからかお互いに甘くて。 羨ましいことに、井ノ原はことある毎に長野先生から「良い子」だと褒められてる。 彼の言う「良い子」は俺の嫌いな「良い子」ではなくて。 だから、ちょっぴり羨ましい。 「・・・・・・なんで俺も?」 「いっつもこんな問題児のよっちゃんに付き合ってくれてる松岡くんも良い子だって、長野くんが」 「・・・・・・」 「俺は松岡は普通の子だと思うんだけど」 「いや、良い子だろ。長野くんよく分かってるなー」 「なーんかムカつくー」 「んははは」 掌の上の飴玉を見つめる。 ぺり、と包装を破れば紫の丸い飴が転がって落ちそうになり。 慌てて口の中に放り込んだ。 「・・・良い子だなぁ長野くんって」 しみじみと井ノ原が言う。 「だなー」 「今度会ったら頭なでなでしてあげようっと!」 「俺の分もよろしく」 「あいよー」 こんな「良い子」なら悪くないな、と思いながら。 俺はころん、と口で飴玉を転がした。 >悪友の名前お題、アンニージア設定でひとつ。長野くんは悪友コンビに飴ばっかりあげてるといいななんて妄想付属で。 |