とある朝の風景。










ぱたぱたぱたぱた。
銀色の尻尾が揺れる。
ご丁寧に紫色のエプロンを身につけ。
ちゃかちゃかと手早くキッチンの中を駆け回る、マサヒロ。





対照的に。
ソファでくったりと身体を預けているご主人様、茂。





「あー・・・つっかれたわぁー・・・」
このまま眠ってしまいたい、と茂が目を閉じた瞬間。
ぺしぺしっと子どもの手が額を叩く感触に、億劫そうに瞼をこじ開けた。
「茂くん!今寝ちゃダメよ!ほら、ホストは顔が命なんだからきちんと食事してビタミン摂ってからぐっすり睡眠は基本っしょ?ほら、起きて起きて起きて!!」





覗き込んできた色素の薄い瞳。
きゅうっと尖っているアヒル口がお小言をたくさん吐き出していて。
お前は僕のなんやねん、と突っ込もうとして、止める。
なんやねんと言ったところで俺は茂くんのペットですー!と返されそうだし。
それ以上に、これはもう日常茶飯事イベントと化していたのだから。






いつものこと。
そして、マサヒロが満足しない限りは眠らせてもらえないことも、茂は心得ていた。






むくりと身体を起こせば。
目の前のテーブルに置かれたものの匂いが鼻を擽る。
ハムエッグに色鮮やかなサラダにご飯に味噌汁。
ビタミン摂取を気遣ってかイチゴのヨーグルト和えがデザートに添えてある。
主食、主菜、副菜全てが揃ったメニューに、茂は席に着きながら感嘆のため息をついて見せた。





「・・・いつもいつもよぉやってくれるなぁ、マサヒロ」
「だって茂くん、俺が用意しないとなーんにも食べないで何日も過ごしてるんだもん!馬鹿でしょ!人間、食べなきゃ頭働かないのよ?」
労いの言葉に、マサヒロのお小言は続く。
頭、痛いんやけど。
「わかっとるけどなぁ・・・面倒やねん用意が」
「だから俺が用意してあげてんの!用意が面倒なだけであればちゃんと食べるんでしょ?」
「・・・せやなぁ・・・」
食べる時間があったら寝たいんやけど、と苦笑する茂に。
マサヒロはぶんぶんぶん、と首を横に振ってみせる。
「ダメ!きちんと食べてぐっすり眠るのが健康を保つ一番の方法だもん!健康じゃなかったらお仕事続けられるわけないじゃん!」
「・・・・さいですか」
「さいです!」
激しく首を縦に振るマサヒロに、茂は口答えを早々に取りやめて箸を手に取った。





目の前で湯気を立てているそれを冷ますほどアホやない。
何でも出来立てが一番て、言うしな。
ぱくり、とご飯を口に運び、味噌汁を一口。





「あぁ〜・・・五臓六腑に染み渡るわぁ」
「美味い?美味い??」
「ぉん。ちっさいのによぉやるなぁマサヒロは」
「俺くらいになると、料理でもなんでもさくっとやっちゃうわけよ」
「ええ子ええ子」
大股で偉そうにふんぞり返るマサヒロの頭を茂は優しく撫でた。
ぽわ、と頬を赤く染めて小さく笑う子どもに。
茂は愛おしさを隠せない。





「やー、かわええなぁ、マサヒロ」
「か、可愛い?!カッコイイって言ってよー!」
「いやや〜」
どっちが子どもなんだかわからないやり取りに。
マサヒロは再びアヒル口になり。
茂は意地悪いような、優しいような笑みを浮かべるのだった。








































































































「ご飯食べたら散歩行こ」
ご褒美頂戴、とばかりにぱたぱた尻尾を振っておねだりをするマサヒロに。
「・・・・それだけは堪忍してや、マサヒロ」
と、箸を咥えながらぐったりする茂の姿があったとかなかったとか。












END
2006.12.2
ジャンル違いで申し訳ありません・・・・!
この二人のコンビもすきですきで。
マサヒロが色々出来るのは一応正規の犬人間のためです。
まったりな飼い主茂くんと、心配性でしっかり者なマサヒロの図が書きたかったのでした。