番外編。





ここ1週間、兄弟の様子がおかしい。
影でヒソヒソ何かを相談しているみたいなんだけど。
俺が何してるんだ、って聞いた瞬間、慌ててそれを隠そうとしてる。
なんなんだ?
何かを隠されてるのって、いい気分はしない。
しかも、俺にだけ。
俺だけに秘密っぽくて、それもまたショック倍増だ。
最初は追求しようと思ってたんだけど、あまりにも隠されるから止めた。

















どーせ俺なんか。



















「何いじけてんの昌兄」
テーブルに突っ伏していると呆れたような口調で背中から声をかけられた。
振り向かなくても声で分かる。
「・・・・・博」
「湿っぽいなぁ。ホント止めてよねそういうの」
「うるせーなー・・・」
お前なんかに俺の気持ちはわかんねーよ、と。
呟いて目を閉じたら、耳がぐぁっと上に引っ張られた。
「いっででででで!!!」
「ほんっと手のかかる子だな昌兄は!」
「俺はお前の息子じゃねっふがっ」
文句を言おうとしたら、顔面に何かをたたきつけられた。
博さん。耳も顔面も痛すぎるんですけど。







「それ読んでおいで」
「・・・・・?」
たたきつけられたそれは、一枚の紙切れ。
「・・・大根1本、にんじん1袋・・・」
「そっちじゃない!裏!」
「裏?」
「読んだらおいでよ。じゃあね」
「おい!」
俺の呼び止めも空しく、博はスタスタと部屋を出て行ってしまった。
手にした紙を裏返し、目をやる。












『昌兄へ。
 居間に来てください。
 来なかったら昌兄が大事にしてるお酒を全部処分します』



























・・・・・・・・・・・・・・は?!!
なにこれちょっと、脅迫?!!









ガタン、とイスから立ち上がり、居間に走っていくと。
兄弟が揃って立っていて。
俺が酒の居所を問いただそうと口を開きかけた瞬間。































パン!パパパン!!

















「おめでとう昌兄!!」























突然のことに何のリアクションも取れず、クラッカーを浴びたまま呆然としてしまった。
























「え、ちょ・・・何??」
おめでとうって。
なにがおめでたいんだ??
「えー、今日は何の日でしょうか?」
博に満面の笑みでそう聞かれ。
俺はカレンダーに目をやる。













































・・・・・・・・・・・・・・・・あ。




















「・・・・俺の、誕生日・・・」
忙しすぎて忘れてた。
今日は間違いなく、俺の生まれた日。











「ハッピーバースディ昌兄!」
「おっめでとー!」
「おめでとー!!!」
「ほら、お前ら用意用意」
ギターを持った快彦の声で、兄弟5人が横一列に並んだ。
たん、とギターを叩いてリズムを取りながら。
「ワン、ツー、ワンツースリーフォー!」







『はーっぴばーすでーとぅーゆー
 はーっぴばーすでーとぅーゆー
 はーっぴばーすでーでぃあ昌兄ー
 はーっぴばーすでーとぅーゆー!!!』







優しさのこもった歌声と。
パチパチパチ、と兄弟の叩いた手の音と。
おめでとうの言葉と。
5人の満面の笑みを見て。
目の前の景色がぶわっと滲んだ。







「あー!昌行くんが泣いてるー!!」
作戦成功だ、なんて嬉しそうに飛び跳ねる兄弟たち。
いや、もう本当に。
すっげぇ、嬉しいんだけど俺。
「な、泣いてねぇよっ」
兄のプライドで懸命に搾り出した言葉は涙声で。
全然説得力がないことが自分でもわかった。














ああ、もう。
いい兄弟たちに囲まれて俺は幸せだ。






































































































・・・プレゼントがピッ○エレキバンだったのにはがっくりしちゃったけどな。
俺は年寄り扱いかよ。






>こんなヘタレなおにいちゃんがいい感じ。



2006.8.26