04:キャンディ





「よっちゃん」
「んー?」
名前を呼ばれて、快彦は読んでいた本から目を離しくるんと振り向く。
こんな呼び方をするのは一人だけ。
博くんだけだから。
「これ、あげるよ」
そう言って博は快彦の手のひらに小さな飴玉を落とした。
グレープ味の真ん丸い飴玉。
「・・・なんで?」
「最近喉の調子、悪そうだから」
さらっと言ってのける博に、快彦は驚く。
どうして博くんには俺のことが筒抜けなんだろう。
魔法でも使ってんのかな。
そう、思った時。





「「快兄ー!」」
双子がどこからか駆けてきて、笑う。
「どうしたの、二人とも」
「あんね、あんね」





二人してごそごそとポケットを弄り、はいっ、と元気よく同時に差し出したもの。
それは、またしても飴玉で。
快彦は目が点になった。





「え」
「最近快兄、声変だからさー」
「飴でも舐めて喉治しなよー仮にもカシュなんだからさ」
ぽろぽろと快彦の手のひらに飴玉を乗せると、双子はたたたっと去っていく。
まるで、いいことをしたのを恥ずかしがるように。





快彦は紫とオレンジとピンクの飴玉を手のひらに乗せて。
となりにいた博に笑って見せた。
「俺って、愛されちゃってるなぁ」
えへへ、と嬉しそうに笑う快彦につられて博も笑った。





>ウチの家族はみんなよっちゃんが大好きです。




2006.8.12