20:甘えたがり
せっかくの休日。
窓の外は真っ青な雲ひとつない空。
その近くでころん、とつまんなそうに床に寝転がっているよっちゃん。
じっとしてるかと思えば、ころころと横に転がっていって壁にぶつかったりしてる。
それを俺は雑誌を読んでいるフリをして観察していた。
さっきからよっちゃんのアプローチは全て失敗に終わっている。
昌兄は「忙しいからまた後でな」って言ってキッチンに行っちゃったし。
剛は友達とサッカーをしてくるらしい。
よっちゃんも入れてって言ってたけど、当たり前に断られてた。
小学生の中に高校生が入っちゃったらズルだもんね。
健は今日は歯医者の日。
ついていってあげようかー?ってよっちゃんが言ったんだけど、いらねーよなんて言われてた。
准はお昼寝中。
起こすなよ、と昌兄に念を押されてるから手出し出来ない。
カワイソウなよっちゃん。
・・・って本人が思ってるんだろうな。
よっちゃんは甘えたさん。
誰かと一緒にいたくて仕方ない、寂しがりや。
・・・仕方ないなぁ。
「よっちゃーん」
グルメ雑誌を置いて、手招いてやる。
というか、どうして俺を誘ってくれないんだろうこの子は。
俺の声に気づいて、ぱぁっとよっちゃんの表情が明るくなった。
「博くん!」
近づいてきて、雑誌読み終わった?と嬉しそうに尋ねる。
あ、そっか。
俺の都合も一応気にしてくれてたんだ。
「読み終わってないけど、よっちゃんが寂しそうなのが見てられなくてさ」
言って頭を優しく撫でる。
高校生だからこういうのは嫌がったり照れたりするものだと思うんだけど。
よっちゃんは本当に嬉しそうに俺の手を受け入れた。
「博くんは優しいねー」
「そっかな」
「うん。みんな俺に冷たいもん」
つん、と唇を尖らせてよっちゃんは拗ねた。
「そんなことないよ。みんな、よっちゃん大好きだよ」
昌兄は本当に忙しいんだと思うけど、また後で遊んでやるからなって付け加えて笑ってたし。
剛は周りのことをきちんと考えた上での判断で。
健にいたってはよっちゃんに弱いとこを見られるのが恥ずかしいだけだと思う。
「見てたの?」
「見てたっていうか、ここにいたからね」
「・・・博くん」
「なぁに?」
「博くんって、凄いね」
「そう?」
「そうだよ」
>洞察力は次男が一番。悪口にもひそひそ話にも敏感に反応いたします(笑)
2006.8.22