18:大丈夫





下の三人が眠って、騒がしい空気がふっと静まる。
階段をそっと降りていくと、居間でぽけっとして座っている快彦を見つけた。
「快」
名前を呼ぶとハッと俺の方を向き、笑う。
「昌行くん」






























呼び方を変えたいと。
ある日、快彦が急に言い出した。
博のことをひっくんと呼び、俺のことをまぁくんと呼ぶ。
それが恥ずかしくなってきたのだろう。
そういうお年頃が快彦にもきたんだな、と思って二人で寂しがった記憶がある。
『別に二人のこと嫌いになったわけじゃねーからな!』
慌てて弁解する快彦に。
『呼び方が変わっても俺も俺だし、博も博だから別にいいよ』
と俺は返答して。
『そうだね。でも俺はずっとよっちゃんって呼ぶからね』
博は同調しながらも、最後まで悪足掻きをしていた。












快彦は俺と博を兄貴とは呼ばない。
ただ名前で呼ぶ。
どうしてもそれが、家族に馴染めないのだと間接的に訴えてきているように思えて。
たまに俺は切なくなるのだ。














「疲れたか?」
「んー、ちょっとね」
あいつら手加減ないから、と苦笑いを浮かべる。
「でも、みんな大好きだよ俺。家族っていいなぁって思う」
「・・・お前も家族じゃん」
言うと快彦は俺を見た。





・・・・今にも泣き出しそうな顔をして。





「・・・・家族で、いいのかな」
「快・・・」
「あいつらが大きくなってさ、俺が血の繋がらない家族だって知った時、俺どうすりゃいいの?」





・・・そういうことを考えてたのか。
ホント、馬鹿だな。





「ばぁか」
「うぇ?!」
「そんなこと誰も言わねぇよ」
「・・・でも」
「もし言われたらこう言ってやれ。血は繋がってなくても俺はお前らの兄貴だ文句あるか!・・・ってな」
「・・・・・・」
「いいんだよ。血が繋がってようが繋がってまいが、お前はウチの家族の三男なんだから。それは揺るぎない事実だろ?」
「・・・・・・うん」
涙目で首を縦に振る快彦の頭をそっと叩く。





「大丈夫だよ。誰もいなくなっても俺だけはお前の味方でいるから」





>まぁくんの大丈夫は自信をくれる魔法の言葉。



2006.8.18