16:週末






週末は昌行の経営する「Bilive」の稼ぎ時である。
だから、他の家のようにどこかに行くわけにもいかない。
それをわかっている兄弟たちは自分の好きなように休日を過ごすのだが。






「つまんねー」







床に転がっていた剛がぽつり、とそう呟き。
それに食いついた快彦が床を這うようにやってきた。





「だよな、だよな剛ちゃん!」
「おう」
「こんなに晴れてんのになーんもしないなんて勿体無いよな!」
「おう」
「健ちゃーん!健ちゃんもそう思うよね??」
遠くで同じようにゴロゴロしている健に快彦は声をかける。
「ちゃんつけんなよ!でも俺もヒマ!!」
同意をした健を満足そうに見て、快彦は目をキラキラさせて言った。
「じゃあ、花火しようぜ!!」
「花火??」
「昼なのに花火かよー」
「違う違う。店が一段落して昌行くんとか博くんが暇になってからやるんだよ」
「そっかそっか」
「したら、花火やろう!!」
「あ、でも快兄、お金どうすんの?」
「まっかせなさい!よっちゃん、花火買うくらい蓄えあるから!」





「よっちゃーん!!来て!!!」





「あ、呼ばれちゃったよ。俺は手伝いに行くから、剛と健花火の買出しよろしくな」
財布の中から何枚かお札を取り出し、双子に渡すと快彦は店の方へと駆けていった。
残された双子は顔を見合わせ、ぷわっと微笑む。









「ねぇ剛」
つんつん、と健が剛の腕を突く。
「うん?」
「快兄もびっくりさせたいよね」
「もちろんだろ。正月にもらったお年玉、まだ残ってるよな?」
「うん!」
小さな缶を振ると、100円玉がいくつか転がり落ちる。
それを大事そうにポケットに詰めると、双子は手を繋いで楽しそうに家を出て行った。
























「これ、なんだ・・・?」
仕事の終わった昌行が唖然とした表情で目の前を指差し呟くように言う。
博も、同様の反応を見せ。
准一を抱き笑顔で駆けつけた快彦ですら、細い瞳をまん丸に見開いた。
目の前にあったのは。
大きなスイカと、キュウリが3本と、山のような花火。
そして、得意満面な顔の双子。
「あんね、俺たち買い物に行ったらね、八百屋さんのおばちゃんがくれたの!」
「いつもお世話になってるからって言ってた」
八百屋さんのおばちゃんと言えば、Biliveの常連客である。
昌行は納得したように頷いた。





「ねぇ、昌兄!花火しようよ!たまにはぱーっと疲れとってよ!」
綺麗なもの見ると心が和むんだよ、と健が笑って言った。
「博兄も!ほらスイカ割り!ムカつく客の頭だと思ってさ」
にやりと不敵な笑みを浮かべながら剛が続いて。
「わぁ、すいかやぁ!」
「准ちゃん反応遅っ」
剛の言葉に初めてスイカの存在を知り驚く准一に快彦が突っ込みを入れる。
わいわいと騒ぐ4人を見て博は微笑み。
横に立っていた昌行の顔に目をやると、意地悪く笑った。
「なに涙腺緩めてんの昌兄」
「う、うるせぇな」
「幸せだなぁとか思っちゃったりしてるんでしょ」
「・・・・・いいだろ別にっ」
「うん、いいよ」
博は楽しそうに笑う兄弟を見て、はーっと息をつき自慢げに言った。





「こんないい子たち、他にはいないもん」





>ウチのパパは涙腺がとっても緩いです。それくらい兄弟が大好きなんです。



2006.8.18