12:縫い物





「昌行くん、なにしてんのー?」
てけてけと健が昌行の元へ足を進める。
昌行は針と糸を目の前にして真剣な表情をしていた。
健は自分の問いかけを無視されたことにムッとして、昌行の背中をドンッと押す。
「無視しないで!!」
「ああっ!!おまっ、今やっと通ったのに!!」
また最初からやり直しだよ、と項垂れる。
その様子に健は首を傾げた。
「なにが?」
「あのな、針のこの穴に糸を通してたんだよ」
昌行が針と糸を見せると、健は大きな目をそこにやり。
楽しそうだと感じたのか瞳をきらきら輝かせて昌行を見た。
「俺、やりたい!!!」
「え?!」
「ねぇ、いい?いいよね、昌行兄ちゃん」
「あ、え、まぁ・・・うん」
きゅるん、と上目遣いでおねだりをする健に勝てるはずもなく。
昌行は目尻を緩めて針を手渡した。
「わーい!」
早速針の穴と糸と格闘を始める健。
しかし、なかなか入る気配を見せない。
「入んないよーなんでー??」
「ホラ、難しいだろ?」
「うんー」








そんな苦戦している二人の傍に、准一がひょこひょこやってきた。








「まぁくん、けんくん、なにやっとるん?」
「あ、准」
「あのねーこの穴に糸を通すゲームをしてるの」
「へぇ」
見せてもらった針と糸に、准一は興味津々である。
それを見て、健は首を傾げた。
「准もやってみる?」
「おん」
頷く准一に健は針と糸を手渡した。
「おい、針手に刺さないように気をつけろよ」
それを見た昌行は慌ててそう注意を促す。















「・・・・・・」
「・・・・あ」
「できたぁ」
「なんでそんなに簡単に出来ちゃうのー?!」
「かんたんやん」
悔しそうにする健に、准一はにへ、と笑みを浮かべた。
昌行は一瞬キョトンとしてから、ふわりと笑って准一の頭に手を置いた。
「じゃあ、今度から針の糸通しは准一の仕事な」
「ほんま?やっていいん??」
「ああ」
「わーい!」






>縫い物一切してませんが(笑)



2006.8.14