11:優しい顔





「うーん・・・」
鏡の前で昌行が自分の顔を見ながら唸っている。
それに気づいた博が近寄ってきた。
「昌兄、ナルシストだね」
「ちっげーよ馬鹿」
「だって、自分の顔見て唸ってたじゃん」
「それはだなぁ・・・」
弁解しようとして、ぐっと詰まる。





「言えないの?」
「・・・・・・・」
「言わないと明日からナルシストな昌兄って呼ぶよ」
「・・・お前それは止めてくれ」
その言葉に兄弟たちがふざけて反応するのは目に見えている。
しばらくナルシストがあだ名になりそうな恐怖に、昌行はゾッとした。
「じゃあ教えてよ」
「・・・・・・・うー」
唸った後、誰にも言うなよ、と昌行は念を押し。
博はこくんと頷いた。










「今日さ、店に来た子供を泣かしちゃってさ」
「へ?何したの昌兄」
「それが何もしてないんだ。ただ・・・『おじちゃんの顔怖い』って言って泣いてんだよ」
「へぇ」
「だから・・・その、俺そんなに怖いかなぁと思って」
「・・・そんで鏡見てたの?」
「・・・・おう」
真顔で頷く昌行に、博の表情が見る見るうちに変化していき。



















「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っぷっ」













「あっ、お前笑うなよ!!」
「はっはっは!あーホント昌兄面白いわ!!」
「くっ・・・最初から優しい顔のお前に俺の悩みなんかわかんねーよーー!!(泣)」







>笑うととっても素敵なお兄ちゃんですが、ただ顔が怖い。



2006.8.14