日記に書いた小ネタらしきもの。尻切れ品覚悟で。
年始の番組が終わり、ぐったりして楽屋に戻る。 毎回毎回楽しいし喜んでもらえて嬉しいからこの疲れもいいもんだ。 ぱかりとおもむろに携帯を開けば、無駄な回数を重ねたメールと着信の山。 その名前を見た瞬間、俺はパタンと携帯を閉じる。 アイツ、新年早々何の用事だよ。 無視しようとも考えたんだけど、後々あまり良い状況にならないと思い直し仕方なく電話番号を押した。 コール音が一度鳴り終わるかどうかというところでガチャっと応答。 『あけおめマボやん今日は朝から大変だなーーー!!』 「うっせー!何でそんなにテンション高ぇんだよお前相変わらずウゼぇなぁ!」 『お前なぁ俺は初詣から帰って来てから一睡もせずにテレビ見てたんだよしかもそれはお前が出てる番組だコラ視聴率に貢献してくれてる悪友にウゼぇとはなんだウゼぇとはこの石川五右衛門が素面で叫ぶな寂しいだろ俺が!』 「誰も見てくれなんて頼んでねぇよ細目!しかもお前が寂しいってなんだ意味がわかんねぇそれとこの電話と何の関係があるのか言ってみろ今すぐ言ってみろコラ!!!」 『あのなぁ俺は疲れてる悪友にお疲れの言葉の一つでもかけてやろうと思って本番中だって分かってんのにもかかわらずインパクトを大事にするついでに機械音痴の寂しいマボやんの携帯の表示画面を全部俺の名前にしてみちゃえ☆っていうじっくり温めてた長年の夢を叶えるためにA型をフル発揮してこまめに着信をしまくったわけなんだよわかる?この愛情がマボちゃんにわっかるかなぁ〜?わっかんねぇだろうなぁ』 「わかんねぇーよ馬鹿!うすら馬鹿!!ネタ古ぃんだよ馬鹿!!!疲れてると思うなら電話すんな大人しく寝てろこのお喋り自然公害野郎!!」 『冷たいぞ松岡!お前友達に対してあけおめっ☆もことよろっ♪もねぇのか?!』 「あーはいはいはいはいあけおめことよろ。じゃあなしばらく冬眠しろ」 ぶち。 通信を切り、ついでに主電源も落とす。 五月蝿い悪友は『ただ今電話に出ることが出来ません』のアナウンスにキレていることだろう。 これでフテ寝してくれりゃ儲けたもんだけど。 「誰からやったん?松岡」 妙に楽しそうやったけど、とリーダーがちょっとずれた感想を口にしながら俺に聞いてきた。 「・・・あんの細目馬鹿からだよ」 「イノッチ?イノッチっすかー?!俺も話したかったのに何で代わってくんないんっすかマボー?!」 ぴょんぴょんと天井にぶつかるんじゃないかという勢いで跳ねる長瀬を見て、どこか井ノ原に近いものを感じてしまう。 「・・・・お前くらい元気有り余ってたらアイツの無駄に高いテンションに対抗出来るかもな」 ・・・まぁ、カウコンは楽しかったけどな、アイツがいて。 首を鳴らし伸びを一つ。 今年もまた変わらず長い付き合いになりそうだ。 ・・・・そんな2007年も悪くはないか。 10分後、携帯を握り締めた涙目の細目さんがどこからともなく襲撃に現れ松岡にダイビングアタックを仕掛けるが、松岡のカウンター兄ぃ直伝右ストレートが気持ちよく顔面にめり込むのは言うまでもない。 ------------------------------------ >突発SSS。 |
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1月11日、0:00。 今日も恒例行事が幕開け。 ピロピロピロ 『やあやあ親友お前連日舞台やらなにやら大変だけどとりあえずハピバ!祝三十路!!』 「おうおう大変だと思うんだったら電話を控えろ井ノ原とりあえずありがとう相変わらず空気読めない野郎だな略称使えるほど若くねぇんだってこと自覚してるか?」 『なにをー?!俺がこの瞬間をどれだけ大切にしてるか知らねぇからそんな冷たいこと言うんだなお前はー!』 「・・・・・・どれだけだよ馬鹿野郎」 『あ、照れた?照れちゃったのマボやんかーーわーーいーー』 ぶちん ピロピロピロ 「・・・・あー?」 『どうして途中で切っちゃうんだよお前!話してる途中に電話切られる切なさは生きてる中でベスト3に入るか入らないかなんだぞまるで時代劇に出て欲しい芸能人ランキングのお前の位置のような』 「んなもんチェックしてんじゃねぇよ馬鹿」 『チェックするに決まってんだろ!新年早々からそちらさんのリーダーへのダイブから始まって一点差で愛エプ大将戦負けるしランキングは中途半端な4位という半端な人生を送り出した親友を俺はいつまでも見守ってるぞ!』 「そのチェックの仕方はもはや感動を通り越して気持ち悪いんだよってかムカつくあームカつく新年早々お前と会話するんじゃないな腹立つから」 『あはははは。でも最後の言葉が意外と胸にキちゃったからどうしようもなくなってんだろー』 「・・・・・・・・・・」 『・・・・あれ、図星だった?』 「・・・・・・馬鹿野郎が。お前だって言ったことに照れてんだろ」 『あは、図星?』 「・・・お前とは長いからな」 『そうだなぁ。この電話ももう恒例みたいになっちゃってるし』 「おう。いい年して誕生日おめでとうもねぇけどな」 『んなこたねぇよ。何歳になっても自分が生まれた日は一年の中で一番祝福してもらうに限るんだ』 「・・・・・・たまにはまともだな」 『俺はいつもまともなんですけどーー』 「言ってろ」 『そんな意地っ張りの親友のために、一曲』 「は?」 ガタゴト コン あーあーあー。 はっぴーばーすでーぇーすばらしーーーいぃ♪ 「うわお前ちょっ、それやめろ恥ずかしい!!!」 『え、なんでよ。今日の日のためにせっかくCDまで買って練習したのにーしかもほらイノッチお手製の受話器置きまで作って気分はスタジオ録音っていう』 「いらん!!!」 『やっぱり誕生日は松岡の作ったあの名曲サブタイトルツンデレ男のお誕生日おめでとうソングだろ!!』 「 死 ね ! ! ! 」 ぶち ピロピロピロ 「しつっけーなぁお前も」 『まだ10秒も歌ってねぇ!』 「これ以上歌い続けるんだったら今年一年着信拒否るぞ」 『そりゃ困る!』 「だろ?」 『俺の誕生日の時に松岡から祝ってもらえねぇだろうがーーー!』 間。 『・・・・・・・あのー』 「あ?」 『今は「自分の幸せが一番なのかよ!」って突っ込むところだったと思うんですけどー』 「や、普通に嫌だった」 『何が』 「俺がお前の誕生日祝えなくなること考えたら、嫌だった」 再び、間。 『・・・・・・そ、だなぁ』 「おう」 『俺もお前の誕生日祝えなくなるの嫌だし』 「んー」 『・・・・ま、まぁ要はおめでとうっつーことを言いたかったんだよ、俺は』 「・・・井ノ原」 『うん?』 「さんきゅーな」 『おう。俺の誕生日も忘れんなよ』 「当たりめぇだろ。いくら仕事立て込んでたとしても0時きっかりに着信入れてやるから寝るなよ」 『お前こそ。・・・じゃあな』 「あいよー」 ぷちん 恒例行事、終了。 終わる度に実感する俺の年齢。 とうとう俺も三十路突入。 頑張りますかね、と自分を励ましつつ、枕にもうすぐ31歳になる悪友の顔を思い浮かべて思いっきり殴ってやった。 ------------------------------------ >マボやん三十路記念ということで。 |
「ゆーびきーりげんまーんうっそついたらとりあえず背後から一撃食らわせて失神したところを見計らってスズランテープの紐でレインボーブリッジから単身バンジーさせた後俺が納得するまでごめんなさい許してください長野さまと言わせた挙句に一生俺の専属料理人として生きる約束さーせるっ」 「ぎゃー怖いそれ怖い長野ムリムリムリムリぜっっっっってぇムリ!!!!!」 「何で途中で拒否るの坂本くん」 「拒否るに決まってんだろっていうかさわやかな笑顔で俺の手踏むの止めて下さい長野ごめん許して」 「全く、たかが焼肉くらいでなに怖がっちゃってんの」 「・・・・・・もし、焼肉屋が定休日だったら?」 「そりゃもちろんとりあえず背後から一撃食らわせて失神したところを見計らってスズランテープの紐でレインボーブリッジから単身バンジーさせた後俺が納得するまでごめんなさい許してください長野さまと言わせた挙句に一生俺の専属料理人として生きるっていう誓約書に血印を」 「・・・・・・・・・・・!!!(涙目)」 **************** 「イノッチ!まぁくんがおかしい!!部屋の隅っこで何喋りかけても『こわい』しか言わん!!!」 「あー?どうせまた長野くんにイジメられちゃったんでしょ。ほっとけよ」 「せやけどー!!」 「長野くんの攻撃にはさすがのイノッチ笑顔も勝てる気がしねぇ」 「俺の決め台詞気弱にして勝手に使うなやー!」 おわれ。 ------------------------------------ >一番最初の台詞が浮かんで書いてみたらこんなことに。 珍しく岡田くんがご乱心。 そしてまたも珍しくイノさん坂本くん放置プレイ。 こんな関係のツートップが多分一番すきなんだと思います。 イノさんが夫婦喧嘩に付き合いきれなくてでもちょっと寂しくて俺も入れて欲しいのにとかいじけてるとさらにツボ度が増します(笑) |
節分の日。 毎年毎年、坂本家は大騒動になる。 「鬼はーーーーそとっ!!!!」 「福はーーーーーーーうちっ!!!!」 響く楽しそうな双子の声と。 「いたたったたたたた!このやろーーー待てこらーーー!!」 鬼の仮面を被ってその二人を追いかける快彦。 「よしくんがおにになってしもたーーーー!!!」 「はいはい」 怖くて泣き出す准一と、それを宥める博。 そして。 キッチンで簀巻きを手にもそもそと作業をしている昌行。 この図は毎年恒例である。 「死ねっ!快兄!!」 「痛い痛い痛いっ!顔はヤメテ顔はっ」 「なにアイドルぶってんだよー」 「だってよっちゃんアイドルだもんっファンの子だって何人かいるもんっ」 「「うわ、キモウザい」」 「いやーーーーーーーーーーそんなとこハモらないでーーーーーーーーーーーーーーーー!!!(泣)」 よよよ、と泣き出す鬼。 それを至って冷静に貶す小学生の双子。 端から見るとある意味圧巻である。 「博くーーーーんっ!!」 「あ、逃げた」 ばたばたと五月蝿い足音を立てて快彦は博のいる方に逃げた。 准一を抱きしめていた彼は、にっこりとした素晴らしい笑顔の後。 「准一が泣くからどっかいってvよっちゃん」 やんわりとした声色で快彦に巨大な爆弾を落とした。 「おーい出来たぞー・・・って何アレ」 海苔巻きを乗せた皿を手にキッチンから居間に移動してきた昌行は、部屋の隅で影を背負っている快彦に気づいて首を傾げる。 「知らなーい」 「気づいたらああなってたー」 双子は始終やりとりを見ていたが、知らないフリを決め込む。 坂本家で博に逆らうことはいいことではないということを幼いながらも熟知しているようだ。 「あ、恵方巻きじゃない」 ひょい、と皿から海苔巻きを手に取る当事者、博。 「節分と言えばこれだろー」 皿を机に乗せれば、わらわらと群がってくる兄弟マイナス1。 「わー海苔巻きだー!」 「これ、食っていいの?」 「いいぞ。ただし、喋っちゃダメだからな」 「何で?」 「そういう決まりなんだよ」 昌行が説明している間に博は手にした海苔巻きを口元に持っていき。 はたと動きを止める。 「今年の恵方はどっちだっけ?」 「えーと、今年は・・・北北西らしいぞ。・・・あ、ちょうど快彦がいる方向だな」 指を差した先にはぱちくりと瞬きをする快彦。 双子も博も昌行も自分の方を見ていることに気づいたらしい。 おいで、と博に手招かれ、ぷわっと笑いながら兄弟の元にやってくる。 「あ、海苔巻き!昌行くんが作ったの?」 「おう。お前も食え」 そう言われ、昌行作の海苔巻きに手を伸ばそうとした快彦の服の裾が引っ張られる。 見れば、准一が海苔巻きを持って見上げていた。 「これよしくんのやで!じゅんといっしょ!」 差し出した海苔巻きは中身が一緒で。 快彦は満面の笑みでありがと、と答えながらそれを受け取った。 北北西を見つめながら、家族で恵方巻きを頬張る。 今年も一緒にいられることに感謝の意を込めて。 昌行は目を閉じながら今年も一年家族にいいことがありますようにと、願掛けをした。 ------------------------------ 家族設定で節分ネタを。 この後よっちゃんが馬鹿なことを言って盛大に笑うんだろうなぁなんて妄想が止まりません(落ち着け) |
「・・・なぁイノよ。俺がお前のことを先輩だと思ってた瞬間なんて今まで生きてきて一回としてさっぱり思い当たらねぇんだけど何故そんなことを口走ったか簡潔にかつ分かりやすく俺に説明してみろもし大先輩の前で調子こきましたすみません許してください松岡さまと謝るんなら気持ちわからんでもないから許してやらないことも無いぜ」 「えーだって俺が先に事務所入りしたじゃん。だから先輩は俺じゃん」 「本当にそう思って言ってたのかよ手に負えねぇなぁ!おめーが俺に勝ってるのは目の細さのみだこの野郎」 「あ?誕生日だって俺の方が早いっつーの!」 「生まれた年なんか勝ち負けに値しねぇだろ勝手に親が生んだ日なんだからよぉ!!」 「ああもう帰れお前俺の出てるテレビ見て感想言いたいからvなんて可愛いこと言うもんだから満面の笑みで出迎えて家に上げた俺が間違いだったぜ」 「何勝手にハートマーク偽造してんだよぶっ潰すぞコラ」 「あああマボやんちょっと待って目がマジってかどこからそんなドライバー持って来たのいくらゴルフハマってるからってねぇそれゴルフボール打つためのもんじゃん人の頭狙って振りかざすもんじゃないじゃんつーかいくら俺でもそれで殴られたら死ぬ死ぬ死ぬだからヤメテ勘弁してぇえええぇえええ!!!!(号泣)」 --------------------------- >はなまるのイノの松岡発言により発生。バイオレンス友情物語(違う) |
バレンタインデイ小話 ■そのいち:イノマボのバレンタインデー 「まっぼやーんvv」 遠くから無駄にハートをばらまきつつやってくる悪友(推定時速45km)を俺なりの歓迎の気持ちを込めて迎えてやる。 ・・・・・・カウンターの効いた蹴りと共に。 ごふぅだかげふぅだかとにかく微妙に形容しがたい声をあげて宙に舞うも、直ぐさま立ち直り血まみれ笑顔で近寄って来る風体は某ゲームのゾンビさながら。 スプラッタ嫌いな俺としては極力近づいて欲しくないわけなのだが。 「全く毎年毎年照れ屋なんだからーっvv」 「デコを人指し指でつつくなデコを!!毎年毎年キモい登場しやがって仕舞いにゃ見えなくなるまでぶっ飛ばすぞ」 「ノープロブレム!俺は例え地球の裏側に飛ばされようともマボやんの元に帰ってくるからvv」 「じゃあ試しにやってみっか」 「あああっ嘘です止めてマボやんそれこの前俺を半死状態まで追い詰めたドライバーじゃんねぇホント真顔でそれ振りかぶるの止めて怖いからー!!・・・ってかんなコントしに来たんじゃねぇんだよ俺は!」 「んだよ、何しに来たのよお前」 「今日は待ちに待ったスゥイートバレンタインデイだろ?」 「おう」 「だからハイこれ!」 悪友が差し出してきた台形の小さなものを穴が開くほど見つめてやる。 これ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・チロルかよありきたりでつまんねぇなぁ」 「なにをー?!さっきコンビニで坂本くんが買い物してる横からカゴの中にこっそりと投げ入れて購入したチロルだぞ?!レアじゃん!!!」 「へぇー・・・ってオメーが買ったんじゃねぇのかよっ!!!」 「しかも速攻でバレちゃって坂本くんにおもいっきり後頭部ぶっ叩かれながらも死守したんだぞ!」 「ケチくせー!たかが20円だろーが!」 「おまっ、20円を笑う者は20円に泣くんだぞコノヤロー!」 「何の話だ何の!とりあえず受け取ってやるけどよー」 「何だマボやんやっぱり欲しいんじゃないvvあ、100万倍返しでよろしくね☆」 「オイなんだその理解に苦しむ倍返しの条件は!100万倍ってことは・・・200万円分返すってことじゃねぇかよ!!」 「あは☆ほら、別にクッキーじゃなくてお酒とかお酒とかお酒とかでも全然構わないから俺心広いしvv」 「・・・・・・100万倍返しを未然に防ぐためには今ここでお前の息の根を止めておく必要がありそうだな・・・!」 「やめてマボやんバイオレンス的な仕返しはこれからの俺の芸能生活にピリオドを打ちかねないからただでさえ標準以下なのに今以上にヤバくなったら本気でこの世界にいられなくなるからーーーーー!!・・・って何で俺のあげたチロル床に置いてんの?」 「・・・・・・」 悪友の問いには答えず、手に持っているドライバーをヤツからもらったチロルに照準を合わせ、躊躇いもなく振りぬく。 ぱっかーんっと想像したよりもかなり軽快な音を立ててチロルは俺の視界の中からあっさりと消え去った。 「おー飛んだ飛んだ。500ヤードは行ったんじゃねぇか?コレ」 「清々しい笑顔を湛えながら人間が打ち出す距離じゃねぇ距離を口にするなってか俺に聞くなゴルフのルールなんてわかんねーんだよこの甲斐性なしがーーーー!!!!!(号泣)」 泣きながら走り去る悪友。 さよなら悪友。 出来れば二月一杯お前の顔は見たくないかな。 ----------------------------- >どうして悪友コンビになるとバイオレンス的な小話になるのか(遠い目) ■そのに:ぶいしくす家族のバレンタインデー ・ゴーケン 「剛、何個もらった?」 「何が?」 「ばっか、チョコだよチョコ!今日はバレンタインだからチョコに決まってんじゃん!」 「・・・・・・一個」 「やった勝った!俺クラス全員の女子から貰った!」 「・・・・・・ふぅん」 「なんだよお前冷めてんなぁ。ほら、俺の一個やるからさ、元気出せよな」 「・・・・・・さんきゅ」 「気にすんなって!男はチョコで決まらないんだから!俺、剛は良い男だと思うよ!」 「・・・健がそう言ってくれりゃいいや、俺」 「えへへv」 ---------------------------- >健ちゃんは義理チョコたくさん。ゴつんは本命チョコ一個なイメージで。 ・快くんと准ちゃん 開園記念日のため、准ちゃんは快くんの隣で彼の弾くギターを大人しく聴いています。 「・・・・・・准ちゃん」 「ぉん?」 「これ、どうしよっか?」 「ぜんぶたべるー」 「ええええ?!!これ全部食べたら鼻血出ちゃうよ?!!」 「やって、すてたらくれたひとがかわいそうやもん。じゅん、ぜんぶたべる!」 「・・・・・・心意気は素敵なんだけど、チョコにがっつり埋もれちゃってる准ちゃんの今の台詞を肯定する勇気はお兄ちゃんにはないぜ」 「よしくん、もてもてやね」 「准ちゃんこそモッテモテじゃないv負けたよ俺」 「かえったらみんなでたべようなぁ」 「おう!(准使って昌行くんに無理やり食べさせてやる←悪魔)」 -------------------------------- >意外とモテモテよっちゃんですが、横にいたかわいい准ちゃんにチョコを取られたりして(結局義理チョコ組) ・夫婦 「・・・・・・・・・ひろしぃ」 「なに?」 「おれ、きょうみせやすむ・・・・・・」 「何言ってんの。もうお客さん入ってんじゃん」 「だって、店ん中甘ったるい匂いすんだもん・・・・」 「今日は家の中も同じ状態になると思うよ。うちの兄弟全員モテモテだから」 「・・・・・・!!!(涙目)」 「諦めて大人しくフライパン振ってな昌兄」 「チョコより酒がいい・・・・・・」 「文句言わないの。もらえるだけありがたいと思いなさい」 「・・・・・・ぁい・・・って博ぃぃぃーーーーー!!!!」 「何?あーこれ美味しい!隣町のあの店の限定品なだけあってコクがあるなぁ・・・あ、これも結構珍しいかも!これ昌兄宛てだねぇちょっと貰っていい?っていうかあげないとかいう言語は理解出来ないから勝手に開けちゃうねー」 「・・・・あげるから全部チョコあげるから頼むから俺の目の前で食べるのだけはやめてくれ・・・!」 ----------------------------- >甘いものが苦手なまーくんにとっては最悪の日。グルメなヒロスには珍しいチョコが目白押し。 |
■子離れ、親離れ ロケ現場の楽屋に足を踏み入れる。 傍を通ったスタッフさんにおはようございます、と挨拶をすると。 井ノ原さんと岡田さん先に入られてますよ、という情報を俺に伝えて居なくなってしまった。 よっちゃんが先に入ってるんだな、と覚悟を決めて楽屋に入れば。 椅子に腰掛けて本を読んでいる岡田に挨拶された。 でも、俺の眼前に広がる景色の中によっちゃんは居なくて。 キョロキョロとその姿を探してみれば、近いところに彼は居た。 正確には彼だろう、という憶測しかない状態。 何故なら、俺に見えていたのはソファからはみ出す足だけだったからだ。 ひょい、と覗き込めば、それは確実によっちゃんだった。 さして大きくも無いソファで丸くなって眠っている。 窮屈そうに時折顔を歪めながら、むにゃ、と。 口を動かす仕草が可愛くて可愛くて。 起こすのも可哀相だと思い、俺は傍にあった椅子に腰掛けてよっちゃん観察に勤しむことにした。 毎日更新の日記。 タイトなスケジュールなのにも関わらず、友達と遊んで。 日記に書いてあった「久しぶりに寝たーって感じ」という文に思わず顔を顰めた。 一時間くらいしか寝てないのに、それはどうなんだ、と。 ちゃんと寝なきゃ駄目だよ、と釘を刺したくもあったけど、彼ももう小さい頃の「よっちゃん」じゃない。 自分のことぐらい自分でどうにか出来るだろう。 そう思って、口を閉ざしていた俺。 ・・・・・・でも、なぁ。 俺にとってはまだ彼はあの頃の「よっちゃん」で。 身体は大きくなったけど、見せる感情は全然変わらなくて。 大人になったことで甘えることを昔ほどしなくなってしまったこの子に、甘えることの出来る手を差し伸べることを、未だ俺は望んでいたりする。 まさに子離れ出来ない親のようだ。 もそり、と。 ソファの上で身体を動かし。 きゅうっと縮めていた手足を伸ばすよっちゃん。 ああ、日記の通りだ。 きっとこんな狭いところで寝るんじゃなく、広いところで手足を伸ばしたいって身体が訴えてるんだろうに。 確か奥に簡易ベッドがあったはず。 そこならソファより身体が休まるだろう。 思った俺は、よっちゃんを起こすことにした。 ・・・気持ちよさそうにしてるところ、申し訳ないんだけど。 「よっちゃん」 「・・・・・・んぅ・・・?」 一瞬眩しそうにして、ぱかりと目が開く。 細い細い言われてるけど、取り立てて言うほどでもない気がする目。 よっちゃんはくぁ、と大きく欠伸をした後、俺を見て3回ほど瞬きをした。 「・・・おはよー長野くん」 「おはよ」 「もう、時間?」 「ううん。まだ時間あるよ」 「もう少し寝てもいい?」 「ここじゃなく、奥のベッド使いな。また日記みたいに痺れちゃうよ」 俺の忠告に素直に頷くと、よっちゃんはふらふらと起き上がって、奥に向かって歩いていった。 「・・・・・・すごいよね、博は」 不意に口を開いた岡田の言葉に首を傾げる。 「凄いって、何が?」 「だって、いのっちさっきまで俺が何言うてもソファで寝るって聞かんかったのに」 博が言ったら一発やね、と。 感心したと言わんばかりの口調。 「・・・そうなの?」 「ぉん」 まるで親子みたいや、なんて。 少しだけ羨ましそうに言われて、嬉しくなる。 なんだ。 俺がよっちゃんから子離れ出来てないように、よっちゃんも俺から親離れ出来てないんだな。 リハーサルまであと1時間。 ちょっとでもゆっくり寝れたらいいね、よっちゃん。 --------------------- なんて妄想をイノさんの日記のあの台詞からのみでやってのけました よ!(ウワー) |
■調和を乱す者(シンフォニックワールド設定) 「・・・っ目ぇ、覚ませ・・・っ」 祈りのように呟く、声。続く強打音。 長い手足を持て余すこともなく、スピードに乗せて繰り出される拳は狙った場所に真っ直ぐ飛び、それを吹き飛ばした。 飛ばされた衝撃で巻き起こった風に、白衣がはためく。 こびり付く血は乾ききらずに、未だその白の上に鮮明に存在している。 何度も殴り、殴られた。 喧嘩、ではない。 相手の拳に篭るものは、怒りだった。 予測されるのは強大なショックにより制御装置が外れてしまった、ということ。 そしてそれを外してしまったのは他でもない、自分自身だということ。 人間でも信頼していた相手に裏切られれば怒り狂うだろう。 しかし、相手はアンドロイドで。 本当は人間を傷つけることなど、あってはいけなかった。 そう、いけなかったのだ。 「井ノ原ぁ!」 上司の声にバッと目を向ければ鬼のような形相が見え、反射的に身を竦める。 つかつかと音を立てて近づき、ゴン、と。 彼の頭の上に容赦の欠片も見えない拳が振り下ろされ。 同時に、暴れ回るアンドロイドにも電撃が打たれ、それはゴシャ、と音を立てて地面に落ちた。 「お前は一体何考えてやがんだ!人間を攻撃するアンドロイドなんか作りやがって!」 「坂本くん、違うんだ俺は、」 「違う?何が違うっつーんだ?!お前が作ったのは違法アンドロイドだぞ?!即刻破棄しねぇと研究所全体に迷惑がかかる!」 「・・・・・・だ」 「あ?」 「・・・っ嫌だ!コイツを壊したりしないで!!」 縋るような目で坂本を見、井ノ原は血だらけの顔を彼に向けて酷く不自然な動揺を含み哀願した。 自分の作ったアンドロイドを破棄すること。 井ノ原にとってそれは、何よりも耐え難い行為だった。 「・・・もう、壊れてんだろ」 坂本は下に転がるアンドロイドを一瞥して、ぼそりと呟く。 機械は電気に弱い。 先ほどの一撃によって、それはもう鉄の塊と化していた。 井ノ原はその言葉を聞き、がくんと膝を地面に落とす。 ぱたぱたと零れる涙。 その様子に坂本は溜め息を漏らす。 ――――――――人間としては嫌いじゃない。 小さい頃からずっとアンドロイドと一緒の生活を送ったためか。 機械で出来たアンドロイドが起動しなくなることで涙を流せる人間。 どのアンドロイドともすぐに打ち解け、まるで対等かのように話しかける。 人間としては嫌いじゃない。 だが、研究者としては失格だ。 「・・・何がしたいんだ、お前は」 こんな違法な殺人ロボットを作って。 自分の身に危険が迫ることなど、分かっていることなのにそれでも。 実際、井ノ原が違法アンドロイドを作るのは今回が初めてではなかった。 今日のようにやり合うこともしばしばあり。 その度坂本が止めるのだが、全く止める気配も感じられない。 いつか世界征服でもするのか、とでも茶化そうかと思ったが、そんなことをするヤツじゃない、と思い踏み止まる。 不意に。 俯いたまま涙を流す井ノ原がぽつり、と。 「・・・・・・アンドロイドと人間を友達にしたいんだ」 そう言って、ぐしぐしと腕で顔を擦った。 その言葉に坂本は酷く驚き、すぐに落胆した表情になる。 「無理だ井ノ原。この間外に出た時にアンドロイドと人間の現状を見ただろ?」 「見たからこそ言うんだ!アンドロイドが人間に虐げられてるなんて馬鹿げてる!だから、作るんだ!」 ぎゅう、ともはや鉄の塊になってしまったそれを抱きしめ、叫ぶように言った。 それはまるで駄々を捏ねる子どものような仕草で。 坂本はこれ以上言っても無駄だろうと判断すると、未だ涙を流している井ノ原の頭をぽんぽんと叩いた。 「・・・・・・怪我、手当てするぞ」 「・・・・・・」 「・・・悪化したら研究、続けられないだろうが。それでもいいのか?」 友達になれるアンドロイドを作るんだろ?と。 優しげな言葉に、井ノ原は涙にぬれた顔を上げ、むくりと立ち上がった。 立ち上がって、よろめく。 慌てて坂本が彼に肩を貸せば、寄りかかってくる身体。 痛ぇ、と小さく呻く声にふ、と鼻を鳴らした。 「・・・何、笑ってんのよ」 「いや、別に」 何でもないぞ、と表情を作れば、膨れた顔が見返してきて。 坂本はふわりと笑う。 単純で素直で感情表現豊かで、人の傷を分かち合える人間。 嫌いじゃない。 寧ろ、好きな方だと思う。 「お前みたいなのが居れば、世の中のアンドロイドはきっと報われるな」 そう、言ってやれば。 小さく、本当に小さくありがと、という言葉が聞こえた。 ---------------------------- シンフォニックワールドの前身みたいなものです。 こんな研究者が主人公で。 上司にはまーくんが居て、手当てをする所にひっくんが居るといいな、なんて。 |
■心配の、心配 にこにこ笑って。 笑って、怒って、また笑う。 子どもみたいなあの人は、気持ちだけはいつも大人で。 弱みを見せない。 愚痴も吐かない。 自分の弱さをひた隠し、時折ふざけたような口調で口にするのだ。 ・・・・・・心配、やなぁ。 こっそりそんなことを思いながら、彼を盗み見る。 楽しそうに剛くんと健くんに絡んで笑っているんだけど。 本当に一瞬、垣間見える疲れたような顔。 昨日も一昨日もロケで。 それぞれ違った現場で、みんなの前で笑う。 いのっちは笑顔がいいんだよ。 そう、誰しもが言うけれど。 俺はそうは思わない。 いや、確かにいのっちの笑顔は好きやけど。 それを彼のイメージに植え付けて、無理強いするような言葉は、好かん。 笑顔だけやない。 いのっちは他にもたくさんいいところがある。 ・・・恥ずかしいから言わんけど。 心配で、心配で。 でも、心配だと訴えても、彼は笑って。 どうってことねぇよ、と顔をまた笑顔にして。 逆に俺の心配を始めたりするのだ。 ウチの売れっ子な末っ子ちゃんの方が大変じゃない上手くやってる?と。 更に話を戻そうとすれば、過剰なスキンシップを始めて、逃げる。 余りにも上手いから、気づけば俺は蚊帳の外に居て。 いのっちは元通り、誰かにちょっかいを出して笑っているのだ。 この間、松岡くんと対談した雑誌に、届くかと思ってその旨を伝えたのだけれど、多分、見てくれてない。 それくらい、忙しいんだろうと思う。 本当は。 この空き時間、少しでも睡眠取りたいのと違うかな。 ふと、そう思った。 思ったから、遠くに居るいのっちに目を向けた。 こっち見ろやー、と念を込めて。 「・・・痛い痛い痛い」 「どうしたの井ノ原くん」 「なーんか俺のほっぺに視線を感じるの」 頬に片手を当てたいのっちと視線がかち合う。 「・・・何、岡田」 「んー」 「何よ何よーすっげぇ気になるんだけどー」 曖昧な俺の言葉を気にして、ひょこひょことやってくるいのっち。 剛くんと健くんは次なるターゲットを探して、まーくんの方に走っていった。 ぱふん、と埃を立てるように俺の隣に腰掛けたいのっちが覗き込んでくる。 ほっそい目。 ・・・じゃ、なくて。 俺はおもむろに立ち上がり、ソファのセッティングを始めた。 クッションを重ねて、頭を置きやすいように。 腰掛けているいのっちは俺の行動を口を開けたままでぽかーんと見つめている。 阿呆顔や。 「ん」 「何?」 「どーぞ」 「何が?」 「ここはいのっち用の仮眠ベッドやねん」 「え、俺別に眠くねぇし」 「俺がせっかく作ったのに無視するんか?いのっちは」 「・・・んなこと言ったら俺、悪者じゃんよー」 「悪者になりたくなかったらどーぞ」 にっこりと笑って見せれば。 いのっちはつん、と口の先を尖らせながらもソファに寝転んだ。 「・・・・・・相変わらず強引だなお前」 「強引にせな、いのっちは動かんやろ」 博の教えやねん、と威張ったように言えば、がっくりと。 項垂れて顔をクッションに押し付けた。 動かなくなったいのっちを前に、手持ち無沙汰になり。 しゃがみ込んで、そうっと彼の髪の毛を撫でてみれば、小さく笑ったような気がして。 「いのっち?」 「・・・お前さぁ、寝かしたいんだか起こしたいんだかハッキリしろよ」 髪撫でられたら気になるだろー、と。 言いながら起きようとしたから、咄嗟に俺は撫でていた手でいのっちの頭を押さえつけた。 「ふごっ」 「寝ぇ」 「ぁに、すんだよぉー」 「いのっちが寝れば、俺の気は晴れんねん」 「大丈夫だって!」 「大丈夫か大丈夫じゃないかはどうだってええの。寝たふりでもええから、しばらくこうしてて」 「・・・・・・新手の遊び?」 「そうともいう」 頷いてみせると変なの、という呟き。 それでも、いのっちはもう抵抗することもなく、ソファに埋もれていて。 俺の心配は少しずつ小さくなっていく。 1分もしないうちにすぅすぅ、と規則正しいゆったりとした呼吸が聞こえてきた。 やっぱり、眠かったんやね。 再び頭を撫でても、もう起きることもなく。 いのっちの後頭部を見つめていたら、上から毛布が降ってきた。 見上げれば、笑顔の博と目が合う。 「・・・博」 「やっと、寝たねぇ」 どうやら博も同じことを考えていたらしい。 「おん」 「その時その瞬間を楽しむのはよっちゃんらしいけど、身体壊しちゃ元も子もないからね」 頷こうとした俺の言葉に被って岡田も、と博は言って。 もう一枚毛布が降ってきたから、首を傾げた。 「博?」 「あと2時間はあるから、寝ときな」 「俺は別に、」 「よっちゃんが寂しがるから、傍に居てやって」 ね?と優しく言われると、弱い。 ソファを背に凭れれば、ふんわりとやってくる眠気。 どうやら俺も思っていたより疲れが溜まっていたみたいで。 ・・・・・・あぁ、やっぱり博には敵わんのやなぁ。 そう、思いながら。 俺もいのっちと同じ夢の世界に旅立ったのだった。 -------------------------- こういう追っかけ的なやりとりが大好きだったりします。 ヒロスさまはいつも頂点で。 でも、たまにまーくんに助けられたり。 ぶいしくすは助け合いと心配のし合いで出来ているといいなぁ、なんて。 |
■やり切る覚悟 ぴたり、と。 ほんの数秒、触れた腕。 暑がりの俺を上回る熱を感じて、見ればひょろりと長い身体が横に立っていた。 普段より少し、ほんの少しだけ悪い顔色。流れる汗。 辛そうな息づかいが聞こえ、自分でもそれを自覚しているのかそれをゆっくりとした呼吸になるように、平気な風に見せるように、必死で。 けれど、気を抜くとすぐに聞こえる、それ。 「・・・松岡ぁ」 名前を呼ぶも、返事はない。 大声を出しても聞こえない場所だ、ここは。 もうすぐ、アンコール。 最後に残るはリズム隊泣かせのあの曲で。 コイツの今の状態にそれをやるというのは酷く無謀に思えた。 「おい」 もう一度、さっきよりも大きな声で呼べば、空ろな目が俺を見返す。 何よ兄ぃと返ってきた声は掠れていた。 ぺろり、とかさついた唇を舐める動作に、俺は無意識に手に持っていたスポーツドリンクの入ったペットボトルを差し出す。 ありがと、と言葉少なげに受け取った松岡は、それを喉に流し込んだ。 ごくごく音を立てながら上下に動く喉元、定まらない視野をぼんやりと見やる。 俺もかなり限界に近い。 ライブの最後はいつもそうだ。 開演前は自分の許容範囲に抑えようと思っているが、観客のテンションに引きずられてついついボーダーを越えてしまう。 そしてヘバった俺に水を渡しながら松岡が言うのだ。 兄ぃはホントライブ好きね、と、呆れたように。 そんな自分が嫌いではないし、多分松岡も嫌ってはいないだろう。 ぜぇ 喉の鳴る音に我に返れば、苦しそうに息をつく松岡が居た。 ぜぇ、ぜぇ、と必死に酸素をかき集めている。 眉を顰めている俺に気づいたのか、目が合って、苦笑い。 「だいじょうぶ、だって」 あと一曲っしょ?俺くらいになるとね、熱くらいでヘバったりしないでアンコールが終わった瞬間に華麗に倒れてガッと担がれて帰んのよ。 俺の中の松岡は、普段のコイツはここまで余計なことを喋って笑うのに。 今目の前に立っている松岡は、最初の方を無理矢理口にして、力なく笑っただけだった。 こりゃ重症だな、と思う。 思うけれど、心配はしたくないし、されたくないだろう。 長く付き合っていると踏み入っていい場所と悪い場所を自然と判断する術が身についてくる。 「そうか」 「うん」 わぁっと沸く歓声。 揃って倍音になる手拍子。 アンコールの声がぱらぱらと沸きあがり、徐々に揃って俺たちの名前を呼ぶ。 出番が、近い。 「・・・・・・お前でかいんだから、倒れる時は場所、選べよ」 ばしん、と背中を叩きながら口の端を上げれば、辛そうに笑う笑窪付きの顔。 今なら。 今なら弱音を吐けばどうにかなる。 体調不良を訴えれば、スタッフがきちんと動いてくれるだろう。 けれど、松岡の口から弱音など出るはずがない、と俺は何となく確信めいていた。 負けず嫌いで、気ぃ使いで。 せっかく来てくれた人たちをガッカリさせるなんてダメっしょ、と。 自分のスケジュールが押した時もそう言って、無理にステージに上がった男だ。 なぁ、行くんだろ? そう思いを込めて見れば。 辛そうな顔が、不意に笑みを湛えて。 「・・・たおれたら、あにぃ、かついで、くれんでしょ?」 と、悪態をついてんはは、と力なく笑った。 「げ、重そうだなぁ」 嫌そうな顔をして見せれば、酷く困った表情になるから、ウソウソ、と続けてみる。 「担いでやっから、思いっきり演れ。ただし、途中でへばるなよ」 ぶっ倒れても。 意識を飛ばしても。 どれだけ周りに迷惑をかけることになってもいい。 ただ、最後の一打まで渾身の力でやり切る覚悟を、持て。 その覚悟のためなら、俺がいくらでも身体、貸してやるから。 俺の言葉にきゅっと口を結んで大きく縦に首を振る。 意思を強く持った瞳。 これなら、大丈夫だろう。 「アンコール、行きます!」 スタッフの声に押されるようにして松岡は階段を上った。 さっきまでの様子が嘘みたいに駆け上がっていく男の背中を追うようにして、俺も。 待っていてくれる人たちの元へ、真っ直ぐに。 --------------------- リズム隊好きー!(何をいきなり) 兄弟に弱いのでもう、こういうのが、すっごく、楽しい!(わー) 兄ぃはいつもマボやんの頼れる兄貴で居て欲しい、そんな願望と共に。 |
■オレンジゼリーなひろしくん 日記に長野くんの名前を出して。 3日続いた辺りで、これじゃ余りにも俺が長野くん好きみたいじゃないかと思い、止めた。 でも、その次の日。 上手い具合にネタが浮かんで、でも主人公の名前が決まらず。 悩んでいる暇もなく、自然と俺の指は「ひろし」と打っていたのだった。 最近ロケで会わないしなー。 会っても撮影が終わったらさっさと帰っちゃうし。 コラムが増えて、店を回る仕事が増えたんだって笑ってたけどさぁ。 昔だったら、よっちゃんご飯行かない?なんて誘ってくれたりしたのに。 なんだよー。 俺より仕事が大事かよ。 この、グルメがー! ・・・って、これ悪口じゃないか。 あーあ。 ロケバスの一番後ろで一人ころんと転がっていれば。 目の前に座っているリーダーの後頭部を見つけた。 ええーあの人ぉ? ヤダ。 俺は長野くんがいいんだ。 今の俺には長野くんが足りないんだよ。 坂本くんは坂本くん不足の時に誘うから。 ほら、オレンジゼリーが食べたいのにプリンを渡される感じ。 ね、分かる? こう、美味しいんだけど、俺が食べたいのは違うものだ、っていう。 だから、坂本くんは、置いといて。 あー長野くん。 長野くんに、会いてぇー! ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ 震える携帯。 まさか。 いや、俺のことだ。 有り得る。 バッと携帯を開いて宛名を見れば。 直太郎から、メールが一件。 がっくりと肩が落ちる。 どうしてお前なんだよー。 まるでリンゴゼリーだよこの野郎。 俺が食べたいのはオレンジゼリーな長野くんだっつーのー! 用件は全く大したことの無い、明日暇?みたいな内容で。 とりあえず暇だったから暇だよーと返しておく。 用のなくなった携帯は、目に見えるところに置いた。 誰かからメールが来たら速攻で反応出来るように。 じぃっと携帯を見つめる。 しかし、待てども待てども連絡は来ない。 うー。 「・・・何やってんだ、井ノ原」 呆れたような坂本くんの声が俺に降ってきた。 でも、無視。 俺が長野くんの電話を待ってるなんて知ったら絶対からかってくるもん。 んー、と気のない返事を返せば。 ふぅと坂本くんのついた溜め息が耳に入って。 「待つより、誘った方が早いんじゃねぇか?」 と。 まるで、俺の行動を最初から知っていたかのような言葉を吐いた。 ビックリして、立ち上がる。 「なん、で?」 「すっげぇ顔に出てる。それと、日記に長野の名前、書きすぎ」 くっくっく、とかみ殺したような笑い。 っていうか俺の日記、読んでたの坂本くん。 機械音痴なのに。 「今日明日ダメでも、それ以降に約束出来るだろ」 「・・・・・・うん」 「長野がお前の約束を断るとは思えないし」 「かなぁ」 「おう。ついでに俺も便乗させろ」 「えーヤダープリンは要らねぇ」 「は?なにプリンって」 「や、こっちの話」 そっか。 そうだな。 来ないなーって思うより、行ってしまえばいいんだ。 たまには良いこと言うね坂本くん。 早速携帯のボタンを操作して、長野くんの番号を導き出す。 『もしもし、よっちゃん?』 受話部分から長野くんの声が聞こえて。 バッチリ日記のことを言われて。 照れながらも会いたかったんだよーと心の内を伝えれば。 そういえば会ってなかったね、なんてつれない返事。 「会ってないよーもうロケの後の飯、最近美味いとこ行ってないんだからー!!」 『じゃあ、これから行く?』 「え、これから?!」 『うん。あ、仕事中だった?』 「ううん!」 「お、おい井ノ原」 坂本くんの慌てる声。 そりゃそうだろう。 本当は仕事中。 これから健ちゃんとのロケなんだけど。 だけど。 今俺に足りないのは長野くんだもん! ロケより、長野くんが大事! 「俺、今すぐ行くから!迎えに来てー!」 「いーのーはーらー!」 『大丈夫?何か坂本くんすっごく慌ててるけど』 「うん大丈夫!仕事、坂本くんが代わってくれるって!」 「俺は何も言ってねぇ!!」 『あーまぁいいや。とりあえず迎えに行くよ。どこにいるの?』 「えーと、○○っていう焼肉屋が見えるところなんだけど」 『あ、そこなら近くだ。5分くらいで着くよ。待っててよっちゃん』 「うん!じゃあ今から外出るね!ばいばーい!」 勝手に終了。 勝手に電源を落として。 ぱすん、と横にいる坂本くんの肩を叩く。 「2時間だから」 「ふざけんな」 「1時間半だから」 「時間縮めたってダメだ」 「1時間じゃ食べられないから」 「んな事ぁ聞いてねぇ」 「あ、そういえば忙しくて舞台も見に行けるかどうかわかんない」 「そんな報告今ここですんなよ寂しいだろ!!」 「まぁ、そういうことで」 「どういうことだーーーー!!!」 半泣き状態の坂本くんを置いて、俺はロケバスの外へ出た。 外にはスタッフと話し込んでいる健ちゃんが居る。 「どうしたの、井ノ原くん」 「あ、健ちゃーんv俺今からちょっと出かけるからー」 「はぁ?!もうすぐインタビュー始まるって!」 「俺が間に合わなかったら中で半泣きになってるリーダーが行くから!」 「ちょっ、井ノ原くんっ」 さっきのリーダーのような反応をする健ちゃん。 その肩越し。 丁度遠くに見覚えのある車。 運転席には、これまた見覚えのある人。 オレンジゼリー! ・・・じゃなくって。 「なっがのくーーん!!」 ぶんぶんと手を振ってみれば、運転席の窓が開いて、逞しい腕が覗いた。 胸がきゅーんとなる。 うわ。 これって、まるで。 今日の日記に書いた女の人みたいじゃん俺。 そう思った俺は、健ちゃんを引き寄せ、思わず叫んでいた。 「ひろし!あんたの子よ!3人で暮らそうーーー!!!」 「なっ、なんで俺が井ノ原くんと長野くんの子どもなんだよっ!」 「あ!お前なぁ、今日の俺の日記見ろよー!」 意味も分からずに動揺する健ちゃんにそう言ってのける。 だって、ほら。 ちゃんと毎日日記を読んでくれている長野くんは運転席で爆笑してくれてんじゃん。 あの笑顔は本物かどうかはわかんないけど、ね。 大好き長野くん!と車に乗り込むなり抱きつけば。 久しぶりに会った長野くんは、どこかふわりとオレンジの香りがした。 -------------------- イノさんの日記より。 何を書きたかったのか、今では見当もつきません。 が、多分ヒロスさまに甘えるよっちゃんが書きたかったんだと思います。・・・うん(自信無し) オレンジの香りがしたのは気のせいではなく、ヒロスさまが近場のケーキショップでオレンジタルトを食べていたのだというちょっとした裏設定があったり(笑) 言わずもがな、ガコイコのあのイノさん失踪&まーくんイノ代わり事件(勝手に命名)にかけてあります。 あれは、なんだったんだろう ね(ちょっと気になる) |
■もしもマボやんが東京の奥さんになったら(別に怪しい表現はありませんが冗談でもそんなもんノーだぜと言う方はスループリーズ) 「ただいまー松岡メシー」 「マボ風呂ー」 「寝るから布団敷いて」 「あれ、バーボンもうあらへんの?」 「夫の帰ってきた時のお決まり文句ベスト3を次々と述べるんじゃねぇせめて揃えろ出来なきゃ似せろ誰かに合わせるっていう気持ちはねぇのかアンタらには!!(言いながらリーダーにグラスを渡す)」 「とか言いつつ出来てんじゃんメシ」 「風呂も沸いてんじゃん」 「布団もバッチリじゃん」 「まぁね!俺くらいになるとね、アンタらが言うことなんてお見通しなわけよ・・・って、そこ勝手に食わない!リーダーも勝手に注がないの!」 「んー美味い」 「後一杯だけでええから〜」 「ダーメー!」 「美味そう!マボメシ食ってから風呂入ろっと」 「俺もマボメシ食って寝よ」 「松岡、ビール」 「俺もー」 「あ、俺もねー」 「俺 は ビ ー ル じ ゃ ね ぇ ん だ よ ! ! ! (と言いつつ手には人数分のビールの缶)」 「さんきゅー」 「ありがと、マボ」 「どーも」 「別にお礼なんかいいっしょいっつもやってんだからってああもうちょっと目を離したらアンタはグラスに茶色い液体注いでんのね身体に悪いから少し酔う程度だって約束したでしょ?!」 「まだ酔ってへんもーん」 「まぁいいじゃねぇか松岡ほっとけば」 「兄ぃはいつもいつも適当なんだよ!この人が肝硬変になって具合悪くなったらどうすんの?!今の発言の責任は取ってくれるんだろうね?!」 「あはははは、大袈裟だねぇマボは」 「ホント、リーダー好きだなぁ」 「すっ・・・!(ぼふっ)(真っ赤)」 「あ、そういや長瀬、あの例の件どうなった?」 「あーあれね。確か太一くんに詳しい書類渡しましたよ」 「貰った貰った。明日の19:00に打ち合わせ行くことになってるから、山口くん同行ヨロシク」 「えー・・・あそこのお偉いさん嫌いなんだよ俺」 「まぁまぁ。山口くんは居るだけでどうにかなっちゃうから大丈夫だって」 「それから明後日の夜から飲み会入ってるからね。あ、松岡、明日メシいらねぇかんな」 「・・・・・・うん(唇を尖らせながらリーダーからバーボンのビンを奪う)」 「なにすんねんまつおかー」 「五月蝿ぇ(べしっとデコ突っ込み)」 「そういや俺、この部分がよくわかんないんすけど(言いながらノートパソコンを机に出し、スイッチオン)」 「あー確かにそこは分かりづらいなぁ」 「ここ、こうじゃねぇ?(立ち上がりパソコンを弄りだす)」 「いやぁ、そうしちゃうとここのこれがダメになっちゃうんですよー」 「どうしたもんかねぇ・・・って、松岡、どした」 「・・・・・・れる」 「「「ん?」」」 「家庭に仕事持ち込まないでくれる?!」 「何でだよ」 「俺わかんないじゃんぜんっぜん話に入れないじゃんずっと家に居て家事してアンタら待ってんのに家でまで仕事されちゃコミュニケーション取れないわけたまんなくウザいわけ止めて欲しいわけ分かる?!」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・なぁ」 「なによ」 「要するにお前が言いたいのは、寂しいってことか?(ニヤリ)」 「?!!!」 「へぇ〜マボ寂しかったんすかぁ(ニヤニヤ)」 「寂しかったんだ(ニマニマ)」 「何その顔何そのお前の考えはお見通しだとかいう目ああそうだよ寂しいんだよ家でまで仕事されちゃたまんねぇんだよそれがどうした何か文句ある?!(言い切ってビールを一気に飲み干す)」 「文句はねぇけど」 「それならそうと最初から言えよ」 「・・・・・・え」 「なぁ、長瀬」 「そうですよ言ってくれたら俺たちなーんにも言わずに仕事のことはそれぞれのパソコン使って静かにメールでやりとりしますよそれくらいの気の使い方だって知ってますから・・・ってマボ?何泣いてんですかマボー!」 「今気づいたたった今俺お前らの奥さんになったのが間違いだったってことに気づいたじゃあな実家に帰らせていただきます北海道だ北の果てだこの野郎言っとくけど戻って来ねぇから!来ねぇかんな!!(叫んでそのまま出て行ってしまう)」 「・・・・・・」 「いいんすか、アレ」 「いいよ。どうせ財布持ってってねぇから戻ってくんだろ」 「あっはっは、それもそうか」 ---------------------- 最後までちょう不憫(大好物) 結局財布が無いのに気づいて立ち止まるも誰も追いかけてこないことに心で泣くマボやん。 家に入りづらいのと追っかけてこなかったのが堪えたのか、玄関の前で体育座りをしてTシャツを伸ばしてるところをたいっちゃん辺りに見つかり、家に強制帰宅になることうけ合いです。 |
■優しい嘘 どうしても。 どうしてもどうしても、帰りたい場所がある。 急いで、走って、転んで。 地面に打ち付けた場所がじんわりと熱を帯びたようになった。 反射的に込み上げてくる涙を飲み込む。 子どもじゃあるまいし。 腕の力で起き上がり、再び走る。 早く、早く。 次第に焦りを増す自分の心を押さえつけて、角を曲がれば。 ぼすっと人にぶつかる感触に倒れそうになって、支えられた。 「よっちゃん」 優しい人の声。 ふんわりとあったかい胸元。 微笑むその顔は、綺麗で。 ぎゅっと抱きついたら、抱き返された。 「ながの、くん、だぁ」 「そうだよ。何言ってるの」 俺のこと忘れちゃった?と意地悪く言う長野くん。 忘れるわけ、無い。 だって。 「おれっ、いまながのくんとこ、いこうと、おもってたんだよ・・・っ」 長野くんだけじゃない。 坂本くん、剛、健、岡田。 皆の居るところに帰りたくて、たくさんたくさん走ってたんだ。 ねぇ。 いつものとこに居るんでしょ? 長野くんを見上げて問いかけた俺に返ってきたのは、困ったような笑顔だった。 「・・・ごめんね、よっちゃん」 あの場所にはもう居ないんだ、と悲しそうに。 長野くんは言って、俺の頭をそっと撫でる。 居ない。 ・・・居ない、の? 「うそだ!」 「嘘じゃ、ないよ」 「だってながのくん、いるじゃん!」 「・・・うん、そうだね」 だって。 よっちゃん一人にすると寂しいだろうから。 だから俺が居てあげなきゃだろ、と。 長野くんは微笑んで俺に言う。 子どもみたいな扱いにぷぅと頬を膨らませれば、楽しそうに笑われた。 「・・・でも、よかった」 「?なにが?」 「よっちゃんをもう、一人にしなくて済むから」 一人に? 俺、一人なんかじゃないよ。 ずっと、一緒じゃん。 皆と、ずっと。 「あんなところでずっと、待たせてごめんね」 もう一度、抱きしめられて。 あったかいその胸の中で、酷く睡魔に襲われる。 寝てもいい?と尋ねたらいいよ、と頷かれたから。 重い重い目蓋を、ゆったりと下ろした。 -------------------------------- >突発SSS。拍手『うそつき』設定で。 |
■無力な手 もう、二度と。 あんな顔はさせたくなかったんだ。 「・・・・・・よっちゃん」 親しみを込めた呼び名で彼を呼ぶ。 いつぶりだろう。 ずっと、ずっと待たせていた。 一人きりで、あの何も無い場所で。 「傍に居たのに、来てあげられなくてごめん」 命を無くして、意識だけがそこにあって。 細い目をいっぱいいっぱいに見開くよっちゃんを、慰めも抱きしめも出来なかった。 それは、皆同じ。 坂本くんも、剛も健も岡田も。 そして、止められなかった。 彼の、自分の手を赤く染める決意を。 優しくて、真っ直ぐで、人のことを傷つけるのが一番嫌いだった。 だからこそ、よっちゃんは罪を犯した。 俺たちの命を奪ったヤツを、許せなかったんだ。 ぴちゃり、と水音を立てて赤いものが地面に落ちる。 さっきからずっと、止まらないそれ。 よっちゃんの、命の源。 「・・・死ぬなって、言えたらいいのに」 俺がもし生きていたら。 俺じゃなくてもいい、他の誰かが一人でも生きていたのなら、絶対にそう叫ぶのに。 一人ぼっちで寂しそうにしている彼には、その言葉は刃より辛いだろう。 だから、迎えに来た。 本当は冷たいアスファルトの上で、一人きりで絶命するはずの運命。 運命を変えることは大罪だと、きつく言われたけれど。 せめて死ぬ時くらい、よっちゃんには幸せで居て欲しかったから。 迷いも無く、背負っていた羽を折る約束をした。 「・・・逝ったら、皆居るからね」 坂本くん、剛、健、岡田。 皆、居る。 誰一人としてもう、よっちゃんを寂しくさせないよ。 「・・・・・・ながの、くん」 眠ったと思っていたよっちゃんの声がしたから。 驚きながらも、その気持ちを隠すようにして笑ってみせる。 「何?よっちゃん」 「おれ、ひとりでも、だいじょうぶ、だ、よ」 「・・・ふぅん」 「だから、はね、おらないで・・・?」 今度こそビックリした。 何でそれをよっちゃんが知ってるの。 口走りそうになって、必死に言葉を心に留める。 「おれ、しってる、から・・・ぜんぶ」 「・・・・・・」 「ながのくん、が、おれのために、はね、おる、やくそく、したの」 「・・・・・・」 「ごめん、ね」 こつん、と。 音を立ててよっちゃんの涙が落ちる。 こつん、こつん、こつん。 月の光に照らされて、それはキラキラと輝く。 いくつかは俺の体に当たって、じわりと染み込んでいった。 途端、身体がふわりと軽くなって。 よっちゃんを抱きしめていたはずの両手が透けていく。 離したくないのに。 一人にしたくなんて、ないのに。 もう二度と、あんな顔なんて見たくなかったのに。 血まみれのよっちゃんは俺を見て、微笑む。 酷く、綺麗に。 「よっちゃ・・・っ」 「だいじょ、ぶ・・・すぐ、いくか、ら」 「でも!」 「ながのくん、が、いなくなる、より、ひとりで、しぬほう、が、いいよ」 「・・・・・・っ」 どんどんと遠ざかっていく。 あの子を、一人に。 俺は。 俺は、また。 『ながのくんっながのくんどうして・・・っ?!どうしてみんないなくなるの?!おれ、ひとり、やだよ・・・ぉっ!!』 蘇る声。 初めて聞いたよっちゃんの弱音。 それに手を延ばしてやれなかったのは、紛れも無く俺。 ・・・あんな顔をさせるくらいだったら。 俺の羽なんか、何度折られたってよかったのに。 もがき伸ばした手は虚しく空を切り。 俺の願いは彼に届くことなく、宙に消えた。 ------------------------ >優しい嘘の続き。同じく拍手『うそつき』設定で。 |
気まぐれで追加予定。