珍しい光景










「おはようございまー・・・・・・アレ?」
がちゃり、と楽屋の扉を開けた俺は、目の前の光景に止まった。
ウチのメンバーは居る。
でも、一緒にTOKIOまで居るってのはどういうことなんだ?
一旦外に出て楽屋の名前を見れば、『V6様』と書かれた文字の下に、マジックで書き足された『TOKIO』の文字が。
首を傾げていた俺の肩にぱす、と手が当たる。





「おはよう、坂本くん」
目をやれば太一が笑顔で立っていた。
「おはよう。なぁ、ここって・・・」
「あぁ。俺たちの楽屋がね、何か問題があったらしくて。急遽合同になったみたいだよ」
太一の説明でようやく合点がいった。
別に合同になったところで困ることは何もないし。
俺は一人ソファに腰掛けて、いつものように楽屋の風景を眺めることにした。








茂くんは山口と長瀬と談笑してるし。
井ノ原と剛と健は相変わらずはしゃいでるし。
長野はパソコンに向かって何かを打っている。
その横で岡田が長野を見ながら、本を読んでいて。



























































・・・・・・あれ?





























あっちのグループのもう一人の長身が居ないことに首を傾げる。
遅刻か?
そう思った時に、がちゃりとドアが開く。









「はよーーっす」










ぺこりと一礼して、松岡が入ってきた。
歩いている姿がどこかふらふらしている。
そういえばドラマの撮影が結構入ってるっつってたっけ。







「大丈夫か?」







真っ先にそう声をかけたのは、太一だった。
珍しいなぁ。
普段は茂くんか山口が声をかけてる気がするけど。
それにビックリしたのは俺だけじゃなかったらしい。
声をかけられた松岡も目を丸くする。





「・・・あーうん。ちょっと、寝たいかな」
「そっか。少し待ってろ」





そう言って、太一は部屋を出て行ってしまった。
その後姿を呆然と見送る松岡。
首を捻ってどうしたんだろ・・・と呟きながらソファに座る姿に俺は小さく笑った。









































































































































程なくして太一が戻ってきて。
手には湯気を立てたマグカップ。
ソファに座っていた松岡にそれを差し出した。






「・・・・・・?」
「はちみつ牛乳」
「・・・え」
「俺も最近映画の宣伝で疲れてんだけど、この間スタッフさんにこれ作ってもらって嬉しかったから」





飲めよ、と隣に座る太一に言われ、松岡は恐る恐るマグカップに口をつけた。
ごくりと喉を鳴らした後、松岡の表情にふわ、と笑みが零れる。





「・・・・・・あー、美味い」
「だろ?単純な組み合わせなんだけど意外と身体に染みるんだよな」
「そうね」
「それ飲み終わったらここで寝とけ。時間来たら起こしてやるからさ」





言って、太一はぱすぱすとソファを叩いた。
ありがと、と掠れた高めの声が素直に礼を言う。
飲み干したマグカップを机に置き、松岡は長身をソファに沈めた。
毛布をかけ、その頭を二、三度撫でて微笑んだ太一と不意に目が合う。








「・・・何、坂本くん」
「いや、珍しいこともあるもんだなぁ、と」
「俺はいっつもこんな感じだけど?なぁ、長瀬」
「えええー・・・」
抗議の声を出した長瀬に、物凄い勢いで太一が駆け寄る。
「いつもこんな感じだ・よ・な?」
「いでででででスイマセンスイマセンそうでした俺すっっっっっっかり忘れてたけど太一くんはそんな人でした優しい!最高!天才!だからごめんなさい足どけて」
「太一ぃ、ほどほどにしときぃや」
「止めないのね、茂くん」
どんなコントだよ、と突っ込みたくなるようなやりとりに笑えば。
べしり、と俺の頭に丸めた雑誌が当たった。
見上げれば、長野。





「何すんだよ」
「珍しいのはここだけじゃないみたいだよ」
言って指差した先には。
さっきまではしゃいでいたはずの、井ノ原と剛がいた。
健は太一に声をかけて二、三言交わすと、楽屋を出て行ってしまった。
あ、井ノ原がウトウトしてる。
松岡が寝たのを見てつられたんだろうか。





「松岡くんも寝たんだし、井ノ原くんも寝れば?」
「何言ってんのよー別に俺とアイツは一心同体vなわけじゃないしさー」
語尾に見えたハートは何だハートは。
強がってはいるものの、かしかしと目を擦っている。
多分剛と健が居るから一生懸命起きてようと必死なんだろう。
俺と長野の傍なら結構すぐに寝るのに。


















































































「・・・別に、無理して起きてなくてもいいじゃん。まだ、一緒に居るんだしさ」















言って、剛が井ノ原の頭をそっと撫でた。
うわ、珍しい。
また珍しいことが起きた。
「珍しいね、剛があんなことするなんて」
俺の傍に立っている長野も同意見だったらしい。
それにもっと珍しかったのが、その剛の行動を茶化さなかった井ノ原だ。
眠さの方が勝っているためかどうかはわからないけど、撫でられてされるがままになっている。
っていうか、目が線。




























「井ノ原くーん!」
超音波が楽屋に響き、健が外から戻ってきた。
手にはちょっと前に太一が持っていたのと色違いのマグカップ。
そうか。
さっき話してたのは、はちみつ牛乳の置き場所を教えてもらってたからか。
「これ飲んでゆっくり寝ろよー」
「んー・・・ありがと健ちゃん・・・」
「俺はー?」
「剛も、あんがと」
にへらと顔を緩ませて、マグカップに口をつける。
剛は井ノ原の頭を撫でながら。
健はヤツの飲んでいる様子を心配そうに見ながら。
それぞれが井ノ原を気遣っている様子につい、頬が緩む。
マグカップが空になり、それを机の上に置いて。
松岡の後を追うようにして、井ノ原も夢の世界に旅立っていった。






















































「珍しいね」
「珍しい、な」
「なんやの今日の楽屋は」
「雨でも降るんじゃねぇか?」






長野、俺、茂くん、山口の順で次々と思ったことを口にすれば。
ぷぅっと頬を膨らませる剛と、太一。
そのタイミングが妙に合っていたもんだから、思わず笑う。
否、笑おうとしてぷぎゅ、と口元を塞がれた。






「笑ったら起きちゃうでしょ、井ノ原」
「松岡も、な」
「岡田、そこの毛布二人にかけてあげて」
「ぉん。分かった」






長野の指示通り、岡田は手近にあった毛布を抱えて二人の元へ。
他のメンバーは自分たちの行っていた行動の音を控えめにし始めた。
出来るだけゆっくり眠れるように、の配慮。
こういうところが俺たちのいいところだと思う。
改めてグループのいいところを確認しながら、俺は元居たソファに再び腰を下ろしたのだった。






END
椎名さまアンケートリク小説でしたー!
絶対周りの人たちはびっくりしてその様子を見守ると思います(笑)
二人揃って甘やかされる状況がなかなか難しかったのですが、こんな感じでよろしいんですか ね・・・?(不安)
優しくする=なでなでな管理人ですみません。
気に入ってくださると嬉しいです。椎名さま、リクエストありがとうございましたー!
2007.6.24