この世の中での『仲が良い』の基準。
それを俺たちはバッチリ逸脱していると思う。
出会い頭に喧嘩腰。
声をかければ、肩を組むか、はたまた胸倉を掴むか。
それはその日の気分次第なのだ。







「おい、井ノ原」
「あぁ?」
「んだよその返事の仕方はよ」
「お前が呼んだから返事しただけだろうが」
「もっと可愛く返答しろよ」
「可愛くってなんだお前あっ松岡久しぶり〜元気?元気??とでも言えばいいのかよ?!」
「うわキモっ」
「オメーが言えっつったんだろうがー!!!」






今日は顔を合わせて1分足らずでお互いに胸倉を掴み。
馬鹿でかい声で言い合いをしていたからか。
がっつんと硬い拳がお互いの脳天に降ってきた。






「「いてっ!!」」
「いーのーはーらーーーーーーっ!」
「松岡、五月蝿ぇ」
「「ご、ごめんなさい」」






坂本くんと山口くんに素直に謝罪をして。
渋々争いを止める。
楽屋を見渡せば、その二人以外まだメンバーは来ておらず。
つまんねぇなーと思って、ソファに身体を沈めれば。
でかい長身が俺の隣に便乗して座りやがった。






「んだよ松岡」
「だって座る場所ここしかねーんだもん」
「あっそ」
「ねぇ、最近どうなのよー?ドラマだのレコーディングだの忙しそうだけど」
「んーまぁボチボチだな。お前は今何してんの?もうすぐドラマじゃん」
「今はちょっと暇。でもまた忙しくなりそうだわ」
「そっか。あんま無理すんなよ」
「イノだって身体弱ぇんだから無茶すんじゃねぇぞ」
「・・・誰が貧弱だって?」
「あ?んなこと誰がいつ言った」
「お前が今言ったんだよふざけんないつの話だこの野郎」
「お前は今も昔も貧弱この上ねぇだろうがー!!」






ソファから立ち上がって、再び胸倉を掴む。
お互い睨み合って暴言を吐きまくれば。
今度はぐいっと襟首を掴まれ、後ろに引っ張られた。






「井ノ原くん?拳骨だけじゃ分かんないのかな?」
「松岡、そろそろぶっ殺すぞ?」
「「ご、ごえんなふぁーい・・・」」






叱られて、二人揃って真逆の方向に引っ張られていく。
まつおかー、いのはらーと手を延ばして名残惜しげに名前を呼んでみる。
遠ざかっていく悪友。
泣き真似までしてみれば完璧です。
それを見て、坂本くんが訝しげな表情をした。






「何してんだお前ら」
「あは、可哀想な俺たちを演出してみた」
「お前らが五月蝿くしなけりゃこんなことしねぇんだよ」
「もう五月蝿くしないから、離してv」
「ダメ」
「ちぇ、ケチ」







俺の言葉にぐいっと襟首の締め付けが強くなる。
ちょ、坂本くんギブギブ。
そのまま坂本くんと一緒にソファに座ることになった。
くそー。






「おはよ、よっちゃん」
「あ、長野くんおはよー!」
「朝から何ごっこしてんの?」
「坂本くんが松岡から俺を略奪したんだよー」
「・・・御幣のありまくる言い方は止めろ井ノ原」
「略奪ごっこ?」
「まともに受け入れるな長野。松岡とセットにしとくと五月蝿ぇんだよコイツ」
「あー」






ようやく合点がいったって感じの長野くん。
でも、長野くんは優しいからきっと俺の気持ちを分かってくれるはず!





「ねぇねぇ長野くーん」
「何?」
「俺、松岡んとこ行きたいー」
「喧嘩するからダーメ」
「喧嘩してこその俺たちなんだよー!」
「・・・まぁね」





喧嘩するほど仲がいいって言うしね、と同意の意見。
横で坂本くんが眉間にシワを寄せている。
そんな彼に長野くんから目線が送られた。
そろそろ離してもいいんじゃない?という内容(のはずだ)
それを見た坂本くんは、次喧嘩したら口にガムテープ貼ってロープでぐるぐる巻きにして監禁してやるという物凄い物騒な台詞と共に俺を解放した。
誘拐犯じゃん、それ。
まぁとにかくめでたく解放された俺が元のソファに行くと、少し遅れて松岡もやってきた。





「よぉ松岡お帰り」
「おう。隣いいか?」
「断るほどの仲じゃねぇだろ」
「まぁね〜」





とすんと隣に座る松岡。
さっきと比べてかなり口数が減っている。






「どうした?」
「兄ぃにお灸据えられた。次喧嘩したら半殺しにして樹海の奥に埋めるって」
「俺も坂本くんに口にガムテ貼ってロープで縛って監禁するって言われた」
「・・・喧嘩無しな」
「おう。したら俺ら二度とお日様見れないぜ」
「「・・・・・・」」






喧嘩の種を無くすためには喋らない方がいい。
二人揃って同じことを考えてたからか、俺たちは無言になった。
でもつまんねぇ。
つまんねぇから、松岡の腋を突ついてみた。






「んのっ」
「あは」
「イノちゃーんなぁにすんのよっ」
「うひゃっ!やーめーてーよぉー松岡っ」
「お前ホント俺のこと好きなー」
「お前こそ俺のこと好きなくせにぃ」
「あれ、もしかして俺たち相思相愛だった?」
「今頃気づいたのかよーおっせー」
「んははは、馬鹿だなぁイノ」
「馬鹿?今俺に向かって馬鹿って言っちゃった?松岡くん」
「あー言っちゃったねーごめんねぇイノちゃん」
「いやいや、松岡のそんな礼儀知らずなところも大好きよv」
「井ノ原v」
「松岡v」






最後はハグで締め。
お互い額に青筋立っちゃってるのは見逃して欲しい。
だって抱きしめてる腕が二人揃って最強レベルの力の入り方してますから。
ギリギリ音立てちゃってますから。
それでもニコニコしてれば喧嘩じゃない、でしょ?
遠くで俺らを監視していた坂本くんと山口くんがキモい!という視線を寄越してくる。
キモいっていうか、痛い。





「松岡、そ、そろそろ痛ぇ」
「あ、悪ぃ」
「・・・無理はするもんじゃねぇな」
「全くだ」
「「ってことで」」





引きつった笑顔を湛え、同時に立ち上がる。
そして相手の服を掴もうと、自分の服を掴まれないようにと躍起になってみた。






「んだこらお前」
「そろそろ死ねよ」
「お前こそ死ね樹海に骨を埋めて白骨死体で発見されろ」
「テメーはさっさと監禁されて5年後辺りにミイラで発見されろ」
「そんなことになったらオメーが我先に泣き出して寂しがるだろーが」
「オメーだって俺が樹海に消えたら号泣するだろうが」
「松岡だ」
「井ノ原だっての」
「お前しつこいなぁ素直に認めろよ」
「お前が認めたら仕方ねぇから認めてやるよ」
「実は俺のことが好きなんだろ?」
「テメーもそうなんだろう?」
「あー多分俺の方がでけぇ好きだな」
「お前には絶対負けねぇ」
「俺の方が好きだ!」
「俺に決まってんだろうが!」
「愛してるー!!」
「そりゃお前んとこの岡田だろ使うネタがいちいち古いんだよ馬鹿」












一方坂本・山口組。






「・・・なぁ、坂本」
「・・・何?」
「あれ、喧嘩?それとも惚気か?」
「知らん。もう疲れた俺・・・」
「同感だわ。アイツらは放置」
「最初から勝手にやらせとけばよかったのに」
「「それを言うな長野・・・」」


-------------------
暴力的な世話焼きならまーくんとぐっさんだと思う。
揃って5歳差兄弟が大好きです。


2007.9.15