『相手の誕生日には一番にメールか電話をする』



松岡と俺の間にこのルールが出来たのはいつ頃だろう。
ふと、思う。
時計の針は12時5分前を差していて。
ああもうすぐ31歳になっちゃうんだなぁ俺、と思いながらテーブルに突っ伏して。
携帯を眺めている俺の横にカタン、と置かれるグラス。
顔を上げれば、シュウが笑っていて。
なんだよぉと声を上げると、お前らその年になってまだやってんの?と少し呆れた声が返ってきた。




まぁ、ねぇ。
もうお互い三十路を超えたわけだし。
片方がこれを止めれば、もう片方もきっと自然と止めるのだろうけど。
なかなか、止められない。
人を祝うのは好きだし、そのお祝いにかこつけて飲むのもまた、好きなわけだし。
騒ぎ立てるのが大好きな俺たちとしては、誕生日なんていう一年に一度しかない行事は外せなくて。
忙しくても、疲れてても。
これだけは毎年毎年、変わらない。
意地でも、無理をしてるのでもなく。
なんていうか、きっと・・・そう、癖、みたいな。
意識しなくても覚えていて、気が付いたらもう連絡を取っている。
そんな、感じ。





だから、不思議と。
俺はアイツからのメールを待つことで不安を覚えたなんて、一度もない。
今年は来るんだろうか、とか。
もしかしたら来ないかも、とか。
・・・って、そういう思考は女々しいことこの上ないのだけど。
メンバーの誕生日の連絡に対してはそんな気持ちになっちゃう俺が。
アイツにだけは、持たない。
絶対的自信があるのかといえば、そうではないけれど。
多分、来んだろうな、なんて。
そんな思いが、常に胸の中にあるのかもなぁ、なんて、思うわけなんだ。









ぶぶぶぶぶぶ








携帯がバイブで揺れる。
表示時刻は・・・これまたビックリ0時ジャスト。
ぱかり、と開けば、メールが一件。
送り主は予想通りアイツから。
相変わらず早ぇなぁ。







『誕生日おめ。今日は皆にたくさん祝って貰えよ。プレゼントリクエストあったらメールくれ』







超淡白メール。
相変わらず機械音痴なんだろうか。
そういやこの間太一くんの日記でそんなようなことを書いてた気がする。
プレゼントリクエスト、ね。





俺はしばし考えて。
はた、と思いつき。
ニヤリ、と口元を歪めて、携帯のボタンを押していく。











『サンキュー。プレゼントはお前でよろしく(はぁと)』











ぱたんと携帯を閉じてくくく、と堪えきれずに笑いを漏らせば。
シュウが気持ち悪そうな顔をして俺を見てきた。
どうやら横から俺のメール内容を覗き見していたらしい。
これが俺らのやりとりよvと言えば、知ってるけどな、とまたまた呆れた声。





そして、再びバイブ音。
ぱかりと開けば、送信先、松岡。






『あいよー』






うっわ。
超、普通だし。
ってことは、アレ?アレ??





「シュウ、見て見て俺ら両想いーv」
「・・・ただ単に面倒くさくなって送ったんじゃねぇの?」
「んなわけないっしょーvそうかー31歳にしてようやく俺の愛がマボやんに届いたのかー」
「毎年毎年キモいぞお前・・・あ、ヨシ」
「ん?」
「誕生日、おめでとう」
これは俺の奢りな、とさっきくれたグラスを指差して、笑う。
ぷわっと嬉しくなって、サンキュー友よ!って抱きつこうとしたんだけど。
交わされて代わりにべしっと叩かれた。
痛い。





後日。
かなり誕生日から日が経った後、なのだけれど。
悪友が買い物袋をごっそり持って俺の家を訪ねてくるのはまた、別の話。




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・・・・・・どこぞのカップルですか(書いたのはお前だ)

2007.9.15