ああ、もう。
なんでこんなことになってん、だ。
畜生。












































































































































































































君が生き延びてくれるなら、僕は喜んで嘘をつく



































































































































































































凍てつくような風が全身に降り注ぐ。
風に運ばれてきた雪が俺と章吉の二人を包んでいく。
それでもどうにか見つけた岩陰のお陰でさっきよりは随分楽になった方だ。
ガチガチと大袈裟なほどに起こる震え。
震えてるうちはまだいい。
身体の中で、こう、熱を作ってるんだと。
前に裕介が言ってた。
俺と章吉はんな寒いところに行くわけねぇんだからそんな知識必要ねぇだろって笑ってた。

















笑ってたはず、なのに。
















ひょんなことで福引が当たり。
その景品がまたも奇跡的に海外ペア旅行券で。
恵美と行ってもアレだし、裕介はヒマ無しだし。
で、思い当たったのが章吉で。
キモいだのヒマねぇんだよだのごっちゃごちゃ言ってた章吉を無理矢理引っ張って飛行機に乗り。
またも奇跡的にその飛行機が、落ちた。
その落ちた場所が超寒いところだった、って、いう。















































































あー寒い。
寒い通り越して、ちょっと眠い。





・・・いやちょっと待て。
寝たら死ぬ。
寒いところで寝たら死ぬ。
んなもん馬鹿でも分かる。
必死にガチガチと震える身体を起こし、俺に寄りかかっている章吉の肩を叩いた。







「・・・っく、生きて、っか・・・しょー、きち・・」
「・・ばぁか・・・おめーより、さき、に・・・しぬか、よ」







憎まれ口が返ってきて、ホッとする。
ホッとしたら思考が少し冷静になってきた。
まずは、何か、食わなきゃ。
確かリュックの中に裕介が無理矢理入れたチョコレート、が。
震える手でリュックを弄り、どうにかして目的のものを取り出した。
パキンパキンと小さく砕き章吉と俺の口に交互に突っ込む。
冷えすぎて甘さも分かんねぇ。
でも、食べないよりは、マシ、な、はずだ。
そう思って、何度も何度も。



















しかし。
食わせてるうちに、章吉の身体の震えが俺ほど無いことに気づいた。
よくよく考えてみればそうだ。
章吉は俺よりかなり細身で、肉付きも良くない。
表情も青く、細い目は開いてるんだか開いてないんだか本気で分からないほどだ。
慌てて章吉を抱き寄せればキモい映児、と力の無い声がした。
んなもん気にしてられるか。
死んじまうよりキモい方がマシだろうが。
ぎゅうっと出来る限り身体をくっつけようと両腕を伸ばせば。
左手が、触れた。


















































































































































































――――――映児が死ねば、あのチョコは俺のもんだ・・・!
















































































































































































ビリリ、と衝撃が伝わる。
サイコメトリーした衝撃だけじゃ、無い。
あまりにも読み取った言葉が、ショック過ぎて。
頭が真っ白になる。



























































・・・・・・けど。







だけど、だ。
これは本当に章吉の言う言葉、か?
二人揃って死にそうになったことなんて何度もあった。
その度、コイツは誰も巻き込まないように一人で突っ走るんだ。
俺に頼る方法だってあんのに、コイツは。





章吉の顔を覗き込めば、その瞳は固く閉じられていた。
震えも殆ど、無い。
呼吸も俺に比べりゃ無いも同然だ。
本当の極限。
生と死の、狭間。

















ギリ、と左手で拳を作る。
怖い。
酷く、怖い。
けれど、もう一度読まなきゃ絶対後悔する。





























































































お前はあんなこと、言わない。
俺は、信じてる。





















・・・・・・章吉。






































目を見開いて。
左手に意識を集中して。
微かに上下する肩に、触れた。


















































































































































































































―――――――・・・きろ











聞こえねぇ。
何て言ってんだ、章吉。











―――――――・・・い、きろ











・・・あぁ。











―――――――・・・生きろ、映児。











































































































































途切れ途切れの低い声。
何度も、何度も。
章吉は俺の生を望んでいた。











































































































































「・・・・・・馬鹿、や、ろ」









俺一人が生きてどうすんだ。
お前が死んで、俺だけが生き延びて。
そんで帰ってきた時に、俺はどんな顔すりゃいいんだよ。








だから。































「おれも、おまえ、も・・・っ生きて、帰んだよ・・・っ」

















力を振り絞って思いを言葉として吐き出し。
章吉の馬鹿さと、不器用さと、優しさをひしひしと感じて、俺は。
奴の頭を抱きかかえるようにしながら、泣いた。







END


遭難であれだけ興奮したので、こんな妄想が出来上がりました(爆)
サイコメ2の遭難シーンを見てる人も見てない人もごめんなさい(超適当です)
映児は章吉ちゃんのために感情を顕わにする人で。
章吉ちゃんはひっそりと心の中で感情を燃やす人なんじゃないかなぁ、という妄想。
2007.9.4